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bacmidの定義 トピック削除
No.974-TOPIC - 2009/08/03 (月) 18:29:39 - あいにゃん
お世話になります。

今後、バキュロウイルス系を用いたタンパク発現を行っていく予定です。

そのためpVL1392 Baculo virus transfer vectorに目的のinsertを組み込んだものを作成しました。

今後、このtransfer vectorと、BD BaculoGold Linearized Baculovirus DNAとともにSf9細胞へtransfectionして、P1 ウイルス液を回収しようとしています。


こういったウイルス作成のやり方の他に、Bac-to-Bacの系でinsertとtransfer vectorをDH10Bac大腸菌の中で組み替えてBacmidを作成し、それをSf9にtransfectionしてしまえばP1ウイルス液が作れます。


私の質問は、co-transfectionする前者と、Bacmidを作成する後者とではどちらがよく使用される系なのでしょうか?

いまいち私は素人で理解できておりませんが、今は前者でやれるように進めています。が、D BaculoGold Linearized Baculovirus DNAが8万円以上すると聞かされ、あー、じゃあBacmidを作った方が経済的かなあと思ってしまいました。

みなさま、どうか、前者と後者の違いをおしえていただけないですか?

また前者のやり方では、Bacmidは取れないのでしょうか?

大変素人的な質問で恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
 
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(無題) 削除/引用
No.974-5 - 2009/08/03 (月) 21:39:54 - 通りがかり
> Linearized Baculovirus DNAはそれ単独では遺伝子の欠落が致死的でありウイルスは産生されず、transfer vector DNAをco-transfectした時にだけ、ウイルスが産生されますよね。
> で、使用するinsertの入ったtransfer vectorはcloningしてありますので、結局co-transfectした結果産生されるウイルスはそのためクローンではないのでしょうか?

原理的にはその通りです。Bac-N-Blue システムでも線状化したウイルスゲノムを組み換え相手に用いて、線状化の際に必須遺伝子の一部が除かれるため、トランスファーベクターと組み換えを起こしたときだけウイルスが増えてくることになっています。そして、このシステムの場合は lacZ が組み込んであって、正しく組み替えを起こしたウイルスのプラークは X-Gal で染まります。

ところが実際にやってみると、結構白いプラーク、すなわちウイルスはできているけれども lacZ 遺伝子は潰れている、というものが出てきます。何が起きているかそれ以上解析はしていませんが、一部欠失したトランスファーベクターが組み込まれて、必須遺伝子は復活したが lacZ はなくなってしまったのだろうと推測しています。Bac-N-Blue のマニュアルによれば 90% 以上が正しい組み換えウイルスだそうですが、標準プロトコールではプラークアッセイで精製する事になっています。

というわけで、単に線状ゲノムとトランスファーベクターを Sf9 に transfect した上清には、予想と異なるウイルスが一定割合含まれていると予想されます。それで問題ないような実験なら結構ですが、そういった短いウイルスは一般に長いインサートを持つウイルスより増えやすいので、増幅を重ねるたびに力価が低下するなどの可能性も常に念頭に置いておく必要があるでしょう。

Bac-to-Bac の場合は、Homologous recombination ではなくてトランスポゾン配列を用いた site-specific recombination なので、そういった非特異的な組み換えが起きる可能性もより低くなっていると思われます。

(無題) 削除/引用
No.974-4 - 2009/08/03 (月) 20:04:34 - あいにゃん
みなさま本当に分かりやすい解説ありがとうございますm(__)m

中年さん

>ウィルスDNAとco-transfectionする方法ではbacmidはもちろん取れません。ウィルスゲノムに大腸菌中で増やせるように複製起点と選択用の薬剤耐性遺伝子を導入してbacmid化したものがBac-to-Bacです。

なるほど、そういうことでしたか!!
とても分かりやすかったです。前者ではbacmidが取れないのでinsertの入ったtransfer vectorをDH5aで増やして、それを各々のinsert毎にBD BaculoGold Linearized Baculovirus DNAとco-transfectionしなければならないんですね。経済的に大変ですね。とてもよく理解できました、ありがとうございます。

通りがかりさん

>同様の原理の Bac-N-Blue システムを使っていました。Sf9 での組み換えの効率は高くない上に、必ずしも homologous recombination が起きたものだけが増えてくるとは限らないので、最適な結果を得ようとすればプラーク精製してウイルスをクローン化する事が必須でした。

私の理解が間違っていたら申し訳ありません。
Linearized Baculovirus DNAはそれ単独では遺伝子の欠落が致死的でありウイルスは産生されず、transfer vector DNAをco-transfectした時にだけ、ウイルスが産生されますよね。

で、使用するinsertの入ったtransfer vectorはcloningしてありますので、結局co-transfectした結果産生されるウイルスはそのためクローンではないのでしょうか?
私の場合にはクローン化は必要ないのかなと考えていましたが。。。

>Bac-to-Bac では組み換えの効率も高く、

BD BaculoGold Linearized Baculovirus DNAの添付文書にはほぼ100 %に近い組み替え効率ですと書かれてありましたので、Bac-to-Bacと比べて実際どうなんだろうと考えていました。


お二人のご助言で色々と考える機会をいただくことができました、ありがとうございます。

またお時間がありましたらご教示頂けますと幸甚です。

(無題) 削除/引用
No.974-3 - 2009/08/03 (月) 19:06:06 - 通りがかり
前者は homologous recombination を Sf9 細胞中で行い、後者は大腸菌中で行います。前者よりも後者の方がはるかに起きやすいのは一般的な事実です。

BaculoGold は使ったことはないですが、同様の原理の Bac-N-Blue システムを使っていました。Sf9 での組み換えの効率は高くない上に、必ずしも homologous recombination が起きたものだけが増えてくるとは限らないので、最適な結果を得ようとすればプラーク精製してウイルスをクローン化する事が必須でした。

その点、Bac-to-Bac では bacmid の段階でクローン化されているので、bacmid を transfect した上清をそのままクローン化されたウイルス液として使えます。組み換えの効率も高く、ほどんど失敗するようなポイントはないので、効率よく安定的にウイルスを作成できて、手間も時間も節約できます。今では私は Bac-to-Bac しか使いませんし、周囲を見ても、一度でも Bac-to-Bac を使った人は全員乗り換えています。

考えておられるように、DH10Bac を増やして自力でコンピを作成すれば、それ以降 Invitrogen から購入する必要はないですし、コスト的にも有利だと思います。

(無題) 削除/引用
No.974-2 - 2009/08/03 (月) 19:02:10 - 中年
どちらが良く使用されているかは分かりませんが、ウィルスの専門家でないならBac-to-Bacの方がはるかに簡便で経済的だと思います。

両者の違いはあいにゃんさんが正にお書きになっている通りです。

ウィルスDNAとco-transfectionする方法ではbacmidはもちろん取れません。ウィルスゲノムに大腸菌中で増やせるように複製起点と選択用の薬剤耐性遺伝子を導入してbacmid化したものがBac-to-Bacです。

bacmidの定義 削除/引用
No.974-1 - 2009/08/03 (月) 18:29:39 - あいにゃん
お世話になります。

今後、バキュロウイルス系を用いたタンパク発現を行っていく予定です。

そのためpVL1392 Baculo virus transfer vectorに目的のinsertを組み込んだものを作成しました。

今後、このtransfer vectorと、BD BaculoGold Linearized Baculovirus DNAとともにSf9細胞へtransfectionして、P1 ウイルス液を回収しようとしています。


こういったウイルス作成のやり方の他に、Bac-to-Bacの系でinsertとtransfer vectorをDH10Bac大腸菌の中で組み替えてBacmidを作成し、それをSf9にtransfectionしてしまえばP1ウイルス液が作れます。


私の質問は、co-transfectionする前者と、Bacmidを作成する後者とではどちらがよく使用される系なのでしょうか?

いまいち私は素人で理解できておりませんが、今は前者でやれるように進めています。が、D BaculoGold Linearized Baculovirus DNAが8万円以上すると聞かされ、あー、じゃあBacmidを作った方が経済的かなあと思ってしまいました。

みなさま、どうか、前者と後者の違いをおしえていただけないですか?

また前者のやり方では、Bacmidは取れないのでしょうか?

大変素人的な質問で恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

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