違います。>その部位の活性をなくすってこと
ドミナントはメンデルの法則で言うところの優性・劣性の優性、ネガティブは機能が失われているということです。ある変異遺伝子(あるいはその産物である変異タンパク質)が、正常遺伝子(正常タンパク質)と共存させた場合にも効果を発揮することができて(つまり優性)、かつその効果のあり方が正常タンパク質の機能が失われた場合と一致する(つまりネガティブ)場合に、そのような変異遺伝子(変異タンパク質)の性格をドミナントネガティブと言います。
この背景には、優性を示す変異遺伝子のコードするタンパク質は、正常遺伝子のコードするタンパク質より活性が亢進している場合が通常である(だからこそ、正常型と共存させた場合に変異型が表現型として現れる)という認識があります(すなわちドミナントでポジティブ)。この”常識”に反した振る舞いを一言で記述するのにドミナントネガティブという言葉が使われます。
実用上は正常型遺伝子をノックアウトやノックダウンすることなく、その機能を失わせたい場合に利用されています。例えば、チョッピさんが挙げておられるような、活性を失わせたようなタンパク質がドミナントネガティブ変異体となる場合も考えられます。活性を失ったタンパク質を大量に発現すると、例えば機能に必須な活性化因子や標的分子の量が限られているような場合、正常型タンパク質との間でそれらの因子の取り合いが起こって結局正常型タンパク質が活性を発揮できないような状況を想定できます。この場合、正常型タンパク質が存在するにもかかわらずその機能を失わせたと同じ効果が見られるわけですから、活性を失ったタンパク質はドミナントネガティブとして作用したことになるわけです。
注意しないといけないのは、活性を失ったタンパク質が必ずしもドミナントネガティブ変異体として機能するとは限らないということです。律速となっている因子を喰ってしまえるかどうかということが大事なので、例えばターンオーバーの非常に速い酵素などの場合は、いくら活性を失わせた酵素を大量に発現したところで、正常型酵素の触媒活性に大きな影響を与えることは難しいでしょう。 |
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