免疫染色での界面活性剤の役割はいろいろありますし、目的に応じて使われる種類や濃度もいろいろです。ひとつは、非特異的吸着を防いだり洗浄を促したりです。もうひとつは、抗体の浸透性を高めるということで、ご質問はこの点に関するものですね。
一般的は固定中、あるいは固定後の前処理で、有機溶媒や濃いめの界面活性剤で(0.5% TX100など)透化処理しますね。でも固定法や前処理の仕方(細胞膜の保持され具合)、標的タンパク質によっては、透化処理をしなくても染まることもあるでしょう。逆に、膜タンパク質だと透化処理によって溶出してしまって染まらなくなる場合もあります。
今回は、特に透化処理をしなくても染まる条件だったのでしょう。TX100の濃度の情報がありませんが、ブロッキングの時に加える濃度というのは透化処理に使うより低い場合が多いので、最初から透過性には関係がなかったんでしょう。固定、前処理の段階ですでに十分な透化が起こっていたんでしょうね。
透化、未透化で比較をするなら、膜のバリアを保ったまま固定する必要があるでしょう。フォルマリンは安定剤(重合防止剤)としてメタノールが含まれています。ブランドによってはかなり濃くて、膜タンパク質が流出してしまうことがあるくらいです。これによって適度な透化が起こっているのかも知れません。PFAから水溶液を作ればアルコールフリーです。固定後の処理によっては膜が壊れるかも知れません。例えば、いったん乾燥させているとか。
標的が膜タンパク質ですので、透化処理によって抜けてしまう可能性もあるので、条件検討が必要になるかも知れません。 |
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