1. RT反応で合成されるcDNAは1st strandのみですが、鋳型RNAと対合している可能性があります(ReverTra AceはRNase H-なので、鋳型に用いたRNAはそのままPCR反応溶液に持ち越されます)。ですから、PCRの最初に変性ステップがなければ増幅は悪くなる可能性があります。それから、たとえPCRの前にRNAを分解してcDNA 1st strandのみにしていても、1本鎖の核酸も多かれ少なかれ分子内で二次構造を形成しているでしょうから、最低限の変性ステップは必要です。
2. 東洋紡が推奨している「最初の94℃, 2 min」が必要か不要かというのは、別の問題かもしれません。その後の温度サイクルに94℃, 30 secがありますから、一般的な鋳型は(dsDNAにしろRNA-cDNAハイブリッドにしろ)それで十分変性できると思います。特に長距離を増やすとかGC-richとかでなければ、最初の+2 minは増幅そのものにはあまり影響しないでしょう。ただし、目的がqPCRである場合には+2 minのあり/なしが定量結果に影響するかもしれませんから、変更しない方がよいと思います。
*マーさんの文章中では「RT」と「RT-PCR」という言葉が混同されているようですので、気をつけてください。ReverTraAce qPCR RT Kitで行えるのはcDNAを合成する「RT」の反応のみです。DNAを増幅する「PCR」の部分は、その後に別の試薬/キットを用いて行います。これら2つの操作を合わせて初めて「RT-PCR」と呼びます。 |
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