なにがあるにせよ、一本鎖でも二本鎖でも、適切な保存すれば一ヶ月くらいな安定性は変わらないと思います。それよりも、保存期間が違うと保存チューブ壁への吸着ロスの度合いが違ってしまって、扱う核酸量が微量の場合や反応系(内部標準の取り方など)によってはバイアスがかかってしまいそうです。その可能性がある場合はキャリア(tRNAとか、poly dI-dCとか)を入れておいたほうがいいかもしれません。
ただし、一本鎖ファージDNAや合成オリゴDNAを扱った経験上、長期保存、凍結せずに溶液保存、凍結融解を繰り返すなどの条件では一本鎖のほうが分解しやすい印象はあります(極性の問題などから想像もできることですが)。市販のPCR用cDNA pool (ClontechのQuick clone cDNAなど)が二本鎖にしてあるのもそういうことがあるのではないでしょうか。
>とは言え,定量をする事を考えるとなるべくステップは少ない方がバイアスが減ると思うので,できれば1本鎖で保存しておきたいのですが,
一般的には逆転写効率は反応ごとのばらつきが大きいのに対して、DNA dependent DNA polymerase反応の2nd strand合成は、サンプルによらず1st strandの鋳型利用効率がほぼ100%なので、これによってバイアスがかかるとは考えにくいです(もしそういうことがあるなら、一本鎖cDNAからスタートしたって、PCRの時の反対鎖の合成効率の違いによるバイアスが問題になるでしょう)。 |
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