RNA用に特別に器具類を分けるということはしていません。
実験台、ピペットマンなどは丁寧にふき取りする、手を良く洗う(手袋なし)くらい。昔はピペットや遠心管など、強度や耐性の関係でどうしてもガラスを使わなければならないこともあって、アルカリ洗浄、200℃の乾熱滅菌などよくやっていたものですが、今ではディスポの器具で済ませることができます。
実験台やピペットマン、あるいは手などに直接RNA溶液が触れるわけでもなく、きちんと清拭してなお、剥がれ落ちたり、舞い上がったりするRNaseがあるとは、ちょっと考えにくいです。
ただ、世の中にはいろいろな人がいるので(海外では特に、ラボのワーカーのなかには教育レベルもスキルもピンからキリまであるようですし)、常識外のひどいことをするかもしれない。それがために失敗したときに責任を転嫁されないように、実験手引書やキットのマニュアルでは最大級の注意事項が並べられているんじゃないかと思っています。カップラーメンのパッケージに「やけどの危険がありますので熱湯にご注意ください」とか、電子レンジに「ネコを入れないでください」(これは都市伝説だそうですが)という注意書きがあるようなものじゃないでしょうか。
ラボの伝統で、RNA実験のときはこうしなければならないというガイドラインはいろいろあるでしょうが、実際の事例に基づいたものって、どれだけあるのでしょうか。時間や利便性や資源を犠牲にして、実効性のないことをやっているという例も、実は多いのではないでしょうか。
それをいちいち確認するための実験というのは、研究の足しにはならないので、わざわざやるひとは、まずいないと思いますが、こういう実験環境ではRNAが分解したとか、それまでRNAの分解があたりまえだったけれど、ここを改善したら解決したとか、実例をあげていただければ、非常に参考になると思いますが。 |
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