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CO1配列によるバーコード化の種分類の基準 トピック削除
No.3854-TOPIC - 2011/01/20 (木) 10:51:23 - 仇波
真核生物(動物)における分子系統分類に関して質問です。
現在、職場の保有サンプルのバーコード化を進めようとしていますが、重複をどこまで認めるかで悩んでいます。
職場の保有サンプルは主にカイメンやサンゴなどですが、これまでは種の重複を余り考慮せずにコロニー単位で集めてきました。

ある程度種ごとの解析が進んで傾向が見えてきましたので、今後は重複をなくすように採集したサンプルの情報を塩基配列でのバーコード化によって管理していこうと考えております。
例えば、ヒトデとナマコは見た目で区別できるのでDNAを調べるまでも無いのですが、「黒いナマコ@と黒いナマコAは、同じと考えるか違うと考えるか」というレベルで分類するための基準が知りたいです。


配列はミトコンドリアのCO1を用いるつもりです。


そこで問題に感じているのが、重複していると判断する基準をどのように設定するかです。

自社で構築するデーターベースでは塩基配列が98%以上一致する個体をを同じものとすることにし、掲載済み(調査済み)のものと同じ種と考えられるものは自動的に排除する設定にする予定でした。
しかし、試しにカイメンのとある属において、異なる2種のCO1配列(Genbankより配列を持ってきた)を比較してみたところ、99.6%も一致しているのが分かり、このままでは危険だと分かりました。

自分で調べた限りでは、酵母は99%が基準でしたが、昆虫や鳥類、サル等においてはDNA相同性はそれほど重要視されていないように感じました。
多くが、形質などの分類に加えて分子系統解析も行ってみた・・・という内容の論文ばかりです。
0.1%の違いでも別種、あるいは6%以上違うのに同種とされていたり・・・

細菌などは比較的基準が固まっているようですが、動物では明確な基準の書かれた論文を見つけだせずにいます。


やはり、DNA情報だけでサンプル管理を行うのは難しいのでしょうか。
良い方法や参考になる文献をご存知の方、どうか教えてください。
 
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(無題) 削除/引用
No.3854-6 - 2011/01/20 (木) 13:02:48 - みとこん
海綿のDNAバーコーディングについてのものがありました。

The Sponge Barcoding Project: aiding in the identification and description of poriferan taxa
Wörheide G, et al. (2007)

ご参考までに。

(無題) 削除/引用
No.3854-5 - 2011/01/20 (木) 11:30:37 - 仇波
>nana様

早速の回答ありがとうございました。
やはり、明確な基準というものは存在しないのですね。

私はDNAの抽出以降の担当の為、生体サンプルを目にする機会が少ないのです。
データベースを構築する前に、採集担当者等とうまく情報を共有するシステムを考える必要がありそうですね。

>みとこん様

貴重な情報ありがとうございます。

今回バーコード化するに当たって、動物やカイメンのバーコード化プロジェクトのサイトを幾つか見た結果、CO1配列が推奨されていたので、参考にしていました。

しかし、NCBIなどではカイメンのCO1データは2000件も無く…

国際的なバーコードプロジェクトは数多くあるようですが、
実際にデータを照合できるBlat機能がついたサイトが少なく、
掲載する上での基準のようなものも記載されていないため、余り参考に出来ませんでした。

会員になれば知ることが出来る情報も多いのでしょうが、
当方は民間企業のため、積極的にデータ共有の場に登録することが出来ません。

やはり、rDNAの28S領域等を狙った方が確実なのでしょうか。

(無題) 削除/引用
No.3854-4 - 2011/01/20 (木) 11:23:06 - nana
追加です。

CO1をバーコーディングに使う場合、核ゲノムに移行したミトコンドリアゲノムの断片をPCRで増幅してしまう場合がありますので、注意が必要です。

たとえば
Song H et al. (2008) PNAS 105, 13486-13491

また、DNAバーコーディングだけでは種の識別が難しいことを示した論文としては次のようなものがあります。

Yassin A et al. (2010) Mol. Phylogenet. Evol. 57, 509-517

ご参考までに。

後生動物のミトコンドリアの進化速度について 削除/引用
No.3854-3 - 2011/01/20 (木) 11:17:15 - みとこん
サンプル管理のやり方についての回答になっていませんが・・・。

以前、後生動物のミトコンドリアについて調べたことがあるのですが、
海綿動物門や刺胞動物門(の花虫綱)のミトコンドリアの進化速度は、
左右相称動物に比べると遅いそうです。

参考文献:
http://www.springerlink.com/content/f5m8245633228763/
http://www.springerlink.com/content/vn271011561556k9/
など

海綿について種レベルでの分類にCOIを用いるのは
難しいのではないか、と思います。

(無題) 削除/引用
No.3854-2 - 2011/01/20 (木) 11:09:43 - nana
結論から申し上げますと、どのくらい配列が違えば別種とするかという基準は存在しません。

いわゆる生物学的種概念は、少なくとも動物分類においては生殖隔離を基本としていますので、配列の相同性とはそもそも基準が異なりますし、相同性の程度で単純に線を引けるものではありません。形態・生態・分子データなどを総合的に勘案する必要があります。

DNAバーコーディングが持っている根本的な問題もここにあります。得られた配列情報の違いのどこまでが種内変異で、どこからが種間の差なのか、単純に数字で決められるものではないのです。

結局は、実際の生き物を見て種を同定し、それを配列情報と照らし合わせて、その種の変異の幅を調べる、という作業を経ないといけません。

実践的に割り切った説明ができずに申し訳ありません。

CO1配列によるバーコード化の種分類の基準 削除/引用
No.3854-1 - 2011/01/20 (木) 10:51:23 - 仇波
真核生物(動物)における分子系統分類に関して質問です。
現在、職場の保有サンプルのバーコード化を進めようとしていますが、重複をどこまで認めるかで悩んでいます。
職場の保有サンプルは主にカイメンやサンゴなどですが、これまでは種の重複を余り考慮せずにコロニー単位で集めてきました。

ある程度種ごとの解析が進んで傾向が見えてきましたので、今後は重複をなくすように採集したサンプルの情報を塩基配列でのバーコード化によって管理していこうと考えております。
例えば、ヒトデとナマコは見た目で区別できるのでDNAを調べるまでも無いのですが、「黒いナマコ@と黒いナマコAは、同じと考えるか違うと考えるか」というレベルで分類するための基準が知りたいです。


配列はミトコンドリアのCO1を用いるつもりです。


そこで問題に感じているのが、重複していると判断する基準をどのように設定するかです。

自社で構築するデーターベースでは塩基配列が98%以上一致する個体をを同じものとすることにし、掲載済み(調査済み)のものと同じ種と考えられるものは自動的に排除する設定にする予定でした。
しかし、試しにカイメンのとある属において、異なる2種のCO1配列(Genbankより配列を持ってきた)を比較してみたところ、99.6%も一致しているのが分かり、このままでは危険だと分かりました。

自分で調べた限りでは、酵母は99%が基準でしたが、昆虫や鳥類、サル等においてはDNA相同性はそれほど重要視されていないように感じました。
多くが、形質などの分類に加えて分子系統解析も行ってみた・・・という内容の論文ばかりです。
0.1%の違いでも別種、あるいは6%以上違うのに同種とされていたり・・・

細菌などは比較的基準が固まっているようですが、動物では明確な基準の書かれた論文を見つけだせずにいます。


やはり、DNA情報だけでサンプル管理を行うのは難しいのでしょうか。
良い方法や参考になる文献をご存知の方、どうか教えてください。

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