近交系を作る時点で、不稔性や胎生致死を持つ個体は排除されますので、生殖年齢に至るまで生存に関しては、思いのほか雑種強勢の恩恵は受けにくいです。
しかし、単一遺伝子ごとにみると随分異なります。毛色の遺伝はその際たるものです。アグーチー、アルビノなどが有名です。またC3Hは自然発癌の形質を持ちますが、B6との一代雑種では抵抗を持つため、放射線による発癌モデルに使っていました。
以下のWebは随分前に私が行き損ねた場所が作っていますが、上記のことについて分かりやすく書いてあると思います。
http://www.ies.or.jp/japanese/mini/mini_hyakka/20/mini20.html
>近交系との戻し交配が完了したマウス
これは、どの表現型、遺伝子型で選別するかによります。戻し交配の最中にどの遺伝子が置き換えられるかで大分変わるでしょう。エピジェネティックな変化や各々のパスウェイに関わる遺伝子の組み合わせなども含め、一概には言い表しにくいですが、戻し交配を重ねるごとに近交型マウスの劣性遺伝の形質が生じやすくなることは確かです。それが生存に関わる形質であれば、一代雑種より戻し交配したほうが生存しにくいと言えます。
同一系統のマウスで、トランスジェニックやノックアウトのマウスの一代雑種をトランスジェニックやノックアウトに戻し交配する例を考えてくださるとより簡単だと思います。
私が知っていることは以上です。 |
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