>プロトコル通りに行うと蒸留水で行うことが多いと思うのですが、
メスアップの話であれば、蒸留水(というよりMilliQ水)が普通だと思います。
ただ、
>使いやすい濃度に希釈して
の話はメスアップとは少し条件が違ってきます。
もともとプライマーやテンプレートDNAはTEなどに溶かしていませんか?
TEに溶かすことで、TrisによってpHをDNAが安定な範囲に収め、EDTAによりDNase(Mgイオン要求性)の活性が出ないようにしています。
希釈して使った残り使い捨てにするのであればいいのですが、取っておいて次の実験にも使うつもりであれば、
蒸留水で希釈すると、Trisの濃度が減ることによりpHが変動しやすく(空気中の二酸化炭素で下がりやすく)なったり、EDTAの濃度が下がることでDNaseのコンタミの影響を受けやすくなります。
簡単に言うと、蒸留水で希釈するとプライマーとテンプレートが分解するかもしれない心配が増えます。
そのキットは使ったことがありませんし、プロトコルにプライマーやテンプレートの溶媒までは書かれていませんが、
普通に考えて5 uL持ち込めるというのはTEに溶かした条件での話であると思います。そのため、TEで希釈したからと言って、PCRの反応が阻害される心配はそれほどしなくていいでしょう。
まとめると、TE(Tris 10mM, EDTA 1mM)やEDTAの濃度の低いTE(Tris 10mM, EDTA 0.1mM)でプライマーやテンプレートDNAを希釈する場合のメリットデメリットは、
メリット:
希釈後の溶液を次の実験にも安心して使いまわせるので経済的に優れている。
デメリット:
EDTAの持込でPCR反応に影響する怖れがある。
(増えない場合に考える原因が1つ増える)
などが考えられると思います。
少なくともプライマーは、直接使わない濃い目の原液を作っておいて、
PCRに持ち込みやすい濃度(1uL測り取ればいいのうどなど)に希釈した溶液を作ってそれを使うという、2段階の希釈で使用しているラボは多いと思います。 |
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