抗体の性質によっては凝集が生じることがあります。透析本来の目的と矛盾するかもしれませんが、透析外液の塩濃度を上げたりpHを変えることで凝集を防げることがあります。
pHはその抗体の等電点を外すことが重要ですが、抗体の場合は酸性側にpHを変えることが多いと聞いたことがあります。pHの変更については抗体の活性に影響を与えないか小スケールで予備検討するほうが良いと思います。
見た目で沈殿が生じていても取り除いてみると十分な抗体濃度が達成できていることも多く、こだわらなくてもその後の実験が可能なこともあります。逆に抗体オリゴマーなどが生じている際は、可溶性画分に十分な濃度が存在していても、精製・濃縮ステップに変更を加えたほうが良いです。
本題とは外れますが営利団体にお勤めのようですので一つ気になることがありました。腹水法での抗体の大量調製は一般的なものですが、動物虐待としてバッシングされることがあります。植えつけたがんが非常に大きくなるまで動物を飼育することで過剰な苦痛を与えたという非難から逃れるのは困難です。問題を未然に防ぐために腹水法は避けて無血清での大量培養などを選ばれるほうが無難かもしれません。 |
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