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マウス肝臓のHE染色 トピック削除
No.3476-TOPIC - 2010/11/04 (木) 21:05:12 - HE
はじめまして。
私は現在、遺伝子改変マウスの組織切片の解析を目的とし、技術習得のためにB6マウスの肝臓のHE染色を行っています。
しかしながら、毛細血管や類洞と考えるにはあまりにも多くの空洞が見られ、さらに、細胞内(細胞質)の中にもエオシンで染色されず、空洞に見える部位が出来てしまいます。
オイル赤O染色を行い、動脈周辺は染色されましたが、脂肪滴の脱脂による空洞と考えるにはあまりにも空洞が多く、原因がわからず困っています。

私が行っているプロトコルは以下の通りです。操作における問題点や改善点がありましたら、ご教示ください。よろしくお願いします。

@アバチン麻酔後、4% paraformaldehyde 15mlを心臓から注入し、灌流固定。
A全身が硬直した後、臓器を摘出し、4% paraformaldehydeに漬け、4℃,24時間固定。
B10%、20%、30%スクロース溶液にそれぞれ4℃,24時間漬け、脱水。
C組織をコンパウンド(NEG-50)に入れ、液体窒素を用いて凍結。
Dクリオスタットを用いて5µmの厚さの切片を作製。
E水洗→ヘマトキシリン10分→流水洗10分→エオシン5分→90%、95%、100%エタノール→封入
 
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(無題) 削除/引用
No.3476-10 - 2010/11/17 (水) 15:30:11 - HE
taniさん

詳しく説明していただきありがとうございます。

当研究室では細胞を中心に実験を行っており、私が研究室に入った時に初めて遺伝子改変マウスの作製に成功したため、私がその解析を行うことになりました。

そのため周りには組織に詳しい学生はおらず、指導教官も組織学に関する専門的な知識があるわけではないため、参考書以上のアドバイスはもらえませんでした。

先生は『まず自力でいろいろと検討をしてみて、それでもだめなら他の研究機関に行って学んでこればよい』という考え方なので、染色条件や固定法などの検討を行ってきましたが、あまり改善が見られなかったため、この掲示板を利用させていただきました。

正直、まだまだ疑問に思う点があるのですが、本日イソペンタンが届いたため、凍結時間の影響を明らかにしたうえでさらにいろいろと検討を行っていきたいと思います。

本当に良いアドバイスをありがとうございました。

(無題) 削除/引用
No.3476-9 - 2010/11/17 (水) 01:02:03 - tani
HEさん、ボクの意見が多少のお役にたてたなら幸いです。

私が今回作成した組織切片は、以下の参考ホームページの肝臓の組織切片(HE AA評価 肝臓 X200)に似た空洞を有しています。

これは多分、どこかの病理専門の技師さんたちの精度管理のための標本で、パラフイン包埋の組織です。ホームページの肝臓の組織を開きながらお読み下さい。

ホームページの写真にある、大きな空洞は血管です。正確にいいますと、肝臓には小葉間結合組織(グリソン鞘ともいいますが)と言う膠原繊維が肝細胞群を取り巻くように存在します。この小葉間結合組織の間、間にこの写真のような、丸い大きな静脈と、それに付随して二つ小さな円形が動脈と胆管がセットになっています。

で、ぐるっと取り巻いたグリソン鞘の中心には小さな中心静脈という血管が見えます。
この写真のように、細胞と細胞の間に白いスキ間がありますね、これも血管で類洞とよばれる毛細血管です。肝臓はこの毛細血管を通る血液からグリコーゲンを溜め込むのです。この類洞細胞にはとても興味深い細胞がありますが、それはともかくとします。

この写真の組織はパラフインとしては普通です、所見はとれますから問題はありません、違いはHematoxylin の色くらいで、メーカーが違うのかな。まあ、凍結切片でパラフインと間違うような標本を作る、病理の匠もいます。 HEさんが難しいのは、自分で作った凍結標本の artifact の空洞と本来ある血管との区別だと思います、またその出来た標本の評価方法ですか。

組織は顕微鏡をはさんで教えてもらわなければ、教科書では分からない事がいっぱいあります。
そういう人が近くにいないのは残念です。でもHEさんの指導教官もいるんでしょう、その方は組織分からなくて大丈夫なのですか??。

(無題) 削除/引用
No.3476-8 - 2010/11/16 (火) 10:45:55 - HE
お久しぶりです。前回行った結果の報告をしたいと思います。

@taniさんのアドバイスに従い迅速に凍結させたもの
A今まで通り組織をコンパウンドに沈めて行ったもの

まず、@についてなのですが、当研究室にイソペンタンがなかったため液体窒素に直接入れるという方法を行いました。
その結果、Aに比べ、明らかに細胞内の空洞が減り、細胞一つ一つの形がきれいに保存されていました。

今回の実験を通して凍結に要する時間が重要であることを身をもって知ることが出来たため、イソペンタンが届き次第再度実験を行いたいと思います。



ところで、もうひとつ疑問に思うことがあるので質問させていただきます。

私が今回作成した組織切片は、以下の参考ホームページの肝臓の組織切片(HE AA評価 肝臓 X200)に似た空洞を有しています。
http://www.jinringi.or.jp/kenkyuhan/byori/kenshyukai/200506/seido04.htm

しかしながら、私が参考としている書物(実践 病理組織細胞診染色法カラー図鑑)には、より密に(空洞がほとんど無い)細胞が並んだ肝臓の組織切片の画像が記載されています。

残念ながら、その画像はマウス由来の組織なのかどうか、凍結切片かパラフィン包埋なのかは記載されていません。

質問としましては、
参考ホームページの画像のように切片を作製・染色出来ていればよいのか、それとも参考ホームページの画像はまだ改善の余地があるのか。

という点です。
私の身の回りには、組織学に詳しい人間がいないため、どういった基準で評価すればいいかが分かりません。

なにかよいアドバイスがございましたらご教示ください。よろしくお願いします。

(無題) 削除/引用
No.3476-7 - 2010/11/08 (月) 18:42:15 - HE
お礼が遅れてしまい申し訳ございませんでした。

様々なアドバイスを頂きありがとうございます。

本日マウスを解剖し、ホルマリンに漬けました。今後、スクロース溶液による脱水を行った後、

@taniさんのアドバイスに従い迅速に凍結させたもの
A今まで通り組織をコンパウンドに沈めて行ったもの

を比較してみようと思います。

後日また結果を報告したいと思います。

(無題) 削除/引用
No.3476-6 - 2010/11/06 (土) 10:12:09 - tani
>ところで、一つ質問があるのですが、taniさんが行われている方法では凍結までにはコンパウンドを>用いていないようですが、クリオスタットで組織を切る時もコンパウンドが無い状態で切片を作製す>るのでしょうか?

質問の受け取り方に誤解があったらすいませんが、クリオスタットはたいていが、ライカかテッシュテイックだとは思うのですが、普通なら、まず、丸い金属ディスクにOCTを塗って凍結組織を乗せ、庫内で冷やしてミクロトームに装着しますね。 ボクは凍らせる前の生なり固定組織を、OCTを接着剤程度に少し塗った金属ディスクに乗せ、ディスクごとイソペンタンで凍結します。組織はむき出し状態で薄切します。

組織さんのように、クリオモルド(?)や四角く形を作ったアルミにOCTを入れ、レブコで凍らせる人も周りにいますが、腫瘍や肝臓以外ならそれはそれでいいのかもしれませんが、もし肝臓ならば経験上ボクはちょっと躊躇します。肝臓と脳の凍結は人によって方法がずいぶんと違いますね。

(無題) 削除/引用
No.3476-5 - 2010/11/05 (金) 20:19:03 - 組織
他の可能性として、薄切時の問題はクリアできてますでしょうか?例えば薄切時に、切片は破れずに均一に切れてきますか?あるいは切片をガラスに貼付ける時に、切片が伸びて軽く破れたりはしてませんか?

ただ書き込みからすると、空胞は組織全体に均一に出てそうなので、すでにご指摘があるように、ブロック作製までのプロセスに問題があるかもしれませんね。逆にもし空隙の分布に偏りがあるようなら、薄切の問題の可能性もあるかと思います。

あと書くと混乱させてしまうかもしれませんが、私はコンパウンドに浸けた組織をディープフリーザーの中に入れて、30分くらい放置して凍結してますが、今のところ組織形態・染色性に問題を感じたことはないです。肝臓をはじめ色んな臓器で、既固定と未固定凍結切片も色々扱ってますが、質問者さんがおっしゃるような症状に遭遇したことはありません。

(無題) 削除/引用
No.3476-4 - 2010/11/05 (金) 16:46:56 - A
私が出入りしていた組織屋さんのラボでは細かく砕いたドライアイス
に埋めてました。これだと凍らせすぎとか時間を気にしなくて済みます。
ただ定期的にドライアイスを使わないと高くつくかもしれませんが。

(無題) 削除/引用
No.3476-3 - 2010/11/05 (金) 16:36:42 - HE
taniさん

早速の返信ありがとうございます。

私はアルミホイルで作製した型にコンパウンドをいれ、その中に組織を入れたものを、液体窒素で冷やした70%エタノールに入れることで凍結を行っていました。
実際にこの操作を行った際、凍結するまでの時間は3〜5分ほどかかった記憶があります。数秒の違いが結果に大きく影響するのであれば、この操作はかなり問題があったと思います。

ところで、一つ質問があるのですが、taniさんが行われている方法では凍結までにはコンパウンドを用いていないようですが、クリオスタットで組織を切る時もコンパウンドが無い状態で切片を作製するのでしょうか?

(無題) 削除/引用
No.3476-2 - 2010/11/05 (金) 01:49:44 - tani
だいたいが凍らせ方が原因の artifact です、ラットの生の肝組織を使っていた時の経験です。

コンパゥンドは使わないで、組織は小さめにトリミングして機械に装着する金属ステージに直接乗せる。剥がれるのが心配なら組織とステージの接着のために必要最小限の量にとどめる。コンパゥンドの中に組織を埋め込むのはいけません。

凍結方法ですが、液体窒素の中にドボンはこれもいけません、イソペンタンを100 mlか200 ml のビーカに入れて液体窒素でイソペンタンを液体窒素と同じ温度になるまで冷やします。
目安は最初、白いガスが出ますが、数分経つとガスが止み、ビーカーの底に白い点ができます、イソペンタンが凍り出した瞬間です。

そのタイミングで、組織を金属ステージごとイソペンタンに入れて凍らせます。10秒程度もあればよいです、それ以上入れると割れます。

要は、とにかく迅速に凍らせる事、コンパゥンドに埋めるとそれだけ凍結時間が長くなる。液体窒素に直接いれると、常温のものが入ってくると組織と液体窒素の間にガスの壁ができ、そのガスが収まるまでに結構時間がかかり、凍結にも時間がかかる。 1秒、2秒の差が切片の出来の善し悪しを左右します、めんどうかもしれませんがやってみてください。

マウス肝臓のHE染色 削除/引用
No.3476-1 - 2010/11/04 (木) 21:05:12 - HE
はじめまして。
私は現在、遺伝子改変マウスの組織切片の解析を目的とし、技術習得のためにB6マウスの肝臓のHE染色を行っています。
しかしながら、毛細血管や類洞と考えるにはあまりにも多くの空洞が見られ、さらに、細胞内(細胞質)の中にもエオシンで染色されず、空洞に見える部位が出来てしまいます。
オイル赤O染色を行い、動脈周辺は染色されましたが、脂肪滴の脱脂による空洞と考えるにはあまりにも空洞が多く、原因がわからず困っています。

私が行っているプロトコルは以下の通りです。操作における問題点や改善点がありましたら、ご教示ください。よろしくお願いします。

@アバチン麻酔後、4% paraformaldehyde 15mlを心臓から注入し、灌流固定。
A全身が硬直した後、臓器を摘出し、4% paraformaldehydeに漬け、4℃,24時間固定。
B10%、20%、30%スクロース溶液にそれぞれ4℃,24時間漬け、脱水。
C組織をコンパウンド(NEG-50)に入れ、液体窒素を用いて凍結。
Dクリオスタットを用いて5µmの厚さの切片を作製。
E水洗→ヘマトキシリン10分→流水洗10分→エオシン5分→90%、95%、100%エタノール→封入

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