PDLが意味する細胞分裂の回数は、個々の細胞の分裂回数ではなく、集団としての分裂回数です。そのため、PDLが1増えたからといって全ての細胞が1回分裂したとはいえません。
供給元によっては、細胞の現時点でのPDLは厳密な数字ではなく、大体いくつというものや、不明のものもあります。PDLは継代する人によって結構ずれるので、大体の数字でもその数字でカウントしていけばそれほど困らないと思います。不明のものは個人的には選ぶべきではないものだと思っています。
正常繊維芽細胞は老化する前にどんどん分裂速度が遅くなります。どの位の期間観察して分裂が止まったと見なしたのか分かりませんが、細胞が少し平べったくなったと思っても、1〜4PDL分くらい分裂するかもしれません。
http://proteome.tmig.or.jp/pjtdb/Kenkyu/Cell_culture/Hayflick_model.html
の図1の相3のことです。
正常繊維芽細胞が老化してくると分裂速度が遅くなりますが、代謝はしています。そのため、継代をするだけの細胞密度にならなくても、週1〜2回くらい培地交換をしてあげないと細胞が死ぬことがあります。
Dimri GP, Lee X, Basile G, Acosta M, Scott G, Roskelley C, Medrano EE, Linskens M, Rubelj I, Pereira-Smith O, Peacocke M, Campisi J. A biomarker that identifies senescent human cells in culture and in aging skin in vivo. Pro Natl Acad Sci USA 92:9363-9367, 1995
で報告されている老化マーカーで染色した写真を取っておくと、老化している細胞を使ったデータであることを示しやすくなります。 |
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