血清中のfibronectinやvitronectinがディッシュに吸着することで細胞が接着するということが言われています。
例えば、
Underwood PA, Steele JG, Dalton BA. J Cell Sci. 1993 104:793-803.
Barrias CC, Martins MC, Almeida-Porada G, Barbosa MA, Granja PL. Biomaterials. 2009 30:307-316.
これまで何種類か細胞を培養しましたが、下記の種類にだいたい分類できます。
(1) 無血清ではtissue culture plate (TCP)に接着できない細胞
(2) 無血清でもTCPに接着できる細胞
(3) 無血清でもTCPおよびpetri dishに接着できる細胞
(1)の場合、だいたいの細胞は、適切な細胞外マトリックスをコートすると無血清でも接着しますが、たまにinsulinとかをいれないと接着しない細胞もあるので、血清中の接着分子だけではなく、増殖因子やホルモンも細胞の接着機構を活性化するために重要な場合があると思います。
また、ちょっともったいないですが血清で表面を処理しても細胞は接着できるようになるので、血清中の成分がTCPに吸着していると考えられます。
(2)や(3)の細胞は、自分で接着分子を出していると考えられます。ひょっとしたらプラスチック表面と直接作用できる機構があるのかもしれませんが、本当にあるのかどうか疑問です。今のところ、発見されていないと思います。
あと、電荷についてですが、TCPは通常negative chargeです。
細胞表面は糖鎖などの影響で基本的にはnegative chargeなので、poly-L-lysineやpoly-L-ornithineをコートすると、非特異的によく接着します。また、BDのPrimariaやamineなどもpositive chargeなのでよく接着できます。
positive chargeの細胞表面タンパク質や糖鎖を豊富に持っている細胞なら、電荷によってTCPに接着するかもしれませんが、そうでなければ細胞自身が産生するタンパク質を介して接着するのではないでしょうか。 |
|