通りすがりさん
タンパクの二次構造を認識する抗体でしたら、熱処理によって、つまりタンパクを変性させることによってシグナルが出るということに不自然さを感じます。これは同感です。しかし一次構造を認識する抗体であるならばタンパクの変性は問題にはならず、むしろ熱処理を行うことで固定によって過剰なまでに架橋されてしまった分子の構造がほどけ、その結果、抗体が抗原にアクセスしやすくなるということは起こりえるのではないかと。よって熱処理は凍結切片でも有用ではないかと私は考えています。確かに熱処理による抗原の賦活化はパラフィン切片でよく使われる方法ですが、その理由の1つとして、一般にパラフィン切片の免染では熱変性に強い抗原に対する抗体が使われるということがあるのではないでしょうか。パラフィンへの包埋過程でサンプルは高温に晒されることになりますので、高次構造が抗原となっている場合、パラフィンではシグナルを検出するのが難しいはずです。
反応時間に関してですが、現在は4℃でシェイキングしながらO/N処理しています。浮遊法で染色を行った場合にはバックグラウンドは比較的低い状態ですので、抗体濃度上げてみるのも1つの手かもしれませんね。抗体希釈液、ブロッキング液の組成についてですが、正常血清、BSA、ゼラチン、スキムミルクなども試してみたものの、バックグランドレベルの増減のみで、シグナル強度は変わらないという印象です。抗原の構造を保つため、固定条件をマイルドにするという手もあるのですが、その場合、ビブラトームで薄い切片(30um程度)を作製するのが難しく、しっかり固定を行った上で抗原を賦活化するというのが私の理想です。ちなみにマイルド固定でもクライオスタットならば薄い切片を作製できますが、切り口の美しさを考えてビブラトームを使いたいと考えています。
とりあえずは組織さんから教えていただいたlow heat treatmentを試してみることにしますね。
レスどうもありがとうございました! |
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