Bio Technical フォーラム

  • バイオ関連の実験をする上での、試薬、機器、プロトコールなどの情報交換の場です。
  • 質問に対して解答できる方は是非、書き込んで下さい。
  • このフォーラムにふさわしくないと管理人が判断した投稿は予告なく削除します。

トピック一覧 | 研究留学ネットに戻る

最新のフォーラム | このフォーラム | ひとつ前のフォーラム(readのみ)

このスレッドをはてなブックマークに追加このスレッドをはてなブックマークに追加

マウス大腸の粘膜固有層単核球の分離とFACS解析 トピック削除
No.308-TOPIC - 2009/04/10 (金) 22:11:29 - マウス実験初心者です
マウス実験初心者です。よろしくお願い申し上げます。

マウス大腸のマクロファージや樹状細胞について、大腸炎との関連を明らかにしようと試みています。
まず、正常マウス大腸でのF4/80やCD11b、CD11cの陽性率を把握しようと考え、FACS解析を行いましたら、問題が起きました。
大腸から得られる細胞数が非常に少なく、各陽性細胞もほとんど検出されないという結果が得られたのです。
条件検討を重ねたつもりではございますが、同様の結果が再現されるため、根本的なまちがいをしているのかもしれないと思い、ご助言、ご意見を賜りたく、このたびお願い申し上げる次第です。

主な参考文献としまして(1) Saba K et al Am J Pathol 2009 174: 144(2) Sun X et al Gastroenterology 2008 134: 447(3) Krajina T et al Eur J Immunol 2003 33: 1073(4) Fiorucci S et al Immunity 2002 17:769を用いています。
まず粘膜固有層単核球(LPMCs)の分離について申し上げます。
1. BALB/c(8~10週齢)の大腸を縦に切開しPBSで洗浄してdebrisを除き5 mm幅に切る
2. HBSS 1 mM EDTA (Ca、Mg free)中で37℃20分間シェイクして上皮を除く
3. 上清は回収し、PBSで洗浄後、氷中に置き、残る組織はHBSSで洗浄後、ホモジェナイズし、Type V collagenase(Sigma、最終濃度1 mg/ml)(10%牛胎児血清、1%抗生物質を含むIMDM中)処理を行う(37℃1時間)
4. ステップ3での上清画分とcollagenase処理後の画分をmixしメッシュに通す
5. 遠心により回収した細胞を30% Percollに懸濁し、70% Percollに重層する
6. 遠心(750 g x 20分、室温)後、30% Percollと70% Percollの境界面に確認される細胞をLPMCsとして回収し、PBSで洗浄する

ステップ3で上清を回収しているのは、上皮近くに分布する単核球が遊離する可能性を心配したためでございます。

FACS用染色反応は、次のように行っています。
1. Blockingとしてhybridoma 2.4G2培養上清で4℃30分間反応させる
2. 抗F4/80抗体(clone: CI:A3-1)10 ng/ul、抗CD11b抗体(clone: M1/70)3 ng/ul、抗CD11c抗体(clone: HL3)3 ng/ulで4℃30分間反応させる(ネガティブコントロールとしてアイソタイプが同じ抗体での反応も行う)
3. 7-AAD染色(室温15分)後、洗浄し、FACSにより解析する

結果ですが、次のようになりました。
・得られたLPMCs数は大腸1つあたり5 x 10(4乗)~1 x 10(5乗)
・7-AAD陰性率は60~70%
・CD11b陽性率は1~2%
・F4/80、CD11c陽性率はネガティブコントロールの場合と区別がつかない

LPMCs数に関しまして、文献(3)を拝見しますと「CD11c陽性樹状細胞はマウスあたり約5 x 10(5乗)得られた」との記述がございますが、私どもでははるかに少ない結果が続いています。
組織の細切の程度を上げたり、collagenase処理時間を変えたりしてみたのですが、大きな改善には至っておりません。
私どもは他に留意すべきことができていないのでしょうか。

各陽性率に関しまして、文献(2)のsupplementary Figure 2Aを拝見しますと、CD11b陽性率としましては、私どもも同様の結果が得られているように感じられます。
ですが、FACSのドットプロットにおけるF4/80やCD11cの陽性シグナルは、文献(1)のFigure 2Bや文献(3)のFigure 1に比べ、私どもでははるかに少ない結果となっています。
文献(1)や文献(3)のように、F4/80やCD11cの陽性シグナルを得るためには、解析する細胞数をさらに増やす必要があるのでしょうか。

どのようなことでも、ご意見、ご助言、お気づきの点がございましたら、ご指摘、ご教示くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
 
- このトピックにメッセージを投稿する -



5件 ( 1 〜 5 )  前 | 次  1/ 1. /1


(無題) 削除/引用
No.308-5 - 2009/07/16 (木) 11:19:57 - マウス実験初心者です
よっしー様

あたたかいご助言、ありがとうございます。
これまではDNaseを添加しておりませんでした。
確かに、死細胞由来のDNAが原因となって凝集が生じてしまい、収率が落ちてしまっている心配がございます。
さっそく、DNaseを添加したプロトコールに変更したいと思います。
また、percoll分離に関しまして、各画分についての確認も行いたいと思います。
また何かお気づきの点がございましたら、ご指摘くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

(無題) 削除/引用
No.308-4 - 2009/07/15 (水) 09:27:34 - よっしー
コラゲナーゼ処理する際にDNaseを加えると,ネバネバは解消されると思います.これで収率は多少あがるのではないでしょうか.
あと,IBD teamさんがおっしゃるように,percollで分離する前,
した後の,表層,界面,沈殿をそれぞれ確認すると,
細胞がどこに行ったかはわかると思います.

ありがとうございます 削除/引用
No.308-3 - 2009/07/14 (火) 22:05:34 - マウス実験初心者です
IBD team様

お返事が遅くなってしまいまして、まことに申し訳ございません。
あたたかいご意見、ご助言、ありがとうございます。

ご指摘くださった点に留意しながら、現在、検討を重ねているところでございます。
その結果、いくつかのことが分かってまいりました。

このたびのプロトコールでは、EDTA処理により上皮を除去した後の上清も回収していました。ですが、当該画分を、collagenase処理後の画分とmixしてメッシュに通そうとしますと、粘性が高いためか、メッシュに細胞がとらわれてしまうようです。Bufferを加えて粘性を下げてからメッシュにかけることも試みましたが、大きな改善は得られない結果となりました。一方、多くの文献のように、EDTA処理後の液体画分は回収しないようにしましたら、大きな粘性に悩まされることは少なくなりましたので、回収しない方向で進めていくことを考えております。

また、30% Percollと70% Percollの境界面に確認される細胞をLPMCsとして回収するステップにおきまして、私どもの問題に気がつきました。遠心後、30% Percoll上部に上皮細胞集団が分離してきます。私どもは、まずこれらの上層部をピペットマンで吸って捨てていき、界面近くまで捨てた後、界面にみとめられる細胞集団を回収していました。この際、捨てるのに用いてきたチップを使って、界面付近の細胞集団を回収していました。チップを変えない、ということは問題だと気がつきました。上皮細胞を吸って捨てる場合、捨てた後でも、チップ中にかなりの細胞塊が付着しており、これらの細胞塊は、界面付近の細胞を吸って回収した場合、目的細胞集団と一緒になって回収されていました。このことが、LPMCsの回収率にどの程度影響してくるかははっきりといたしませんが、少なくとも、界面付近の細胞集団を回収する際、見落としてきていた不注意な点であることが分かりました。お恥ずかしい限りでございます。

最近では、FACSの結果、マウスのグループごとに、CD11b陽性率が3%近くである時もあれば、ほとんど0%である時もありまして、値が安定しておりません。
他にも改善する点がないか注意しながら、一つ一つのステップを確認しているところでございます。

他にも何かお気づきの点がございましたら、ご教示くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

お返事が遅れましたこと、重ねてお詫び申し上げます。

細胞数 削除/引用
No.308-2 - 2009/04/20 (月) 22:53:16 - IBD team
内容をみると、上皮細胞を根こそぎ除去してかつ単核球を
取り出そうとしているようですが。結構これは無理があります。
最終的にどれくらいの上皮細胞が残っているのですか?
一般的には8-10wBALBなら1.0Mくらい単核球がとれるようなので
たとえFACSで解析するとしてもその細胞数では信憑性にかける
ように思います。
各処理段階での上皮と単核球の数を一度確認しながら
作業してみるとどこで大きくlossしているかわかるかもしれません

マウス大腸の粘膜固有層単核球の分離とFACS解析 削除/引用
No.308-1 - 2009/04/10 (金) 22:11:29 - マウス実験初心者です
マウス実験初心者です。よろしくお願い申し上げます。

マウス大腸のマクロファージや樹状細胞について、大腸炎との関連を明らかにしようと試みています。
まず、正常マウス大腸でのF4/80やCD11b、CD11cの陽性率を把握しようと考え、FACS解析を行いましたら、問題が起きました。
大腸から得られる細胞数が非常に少なく、各陽性細胞もほとんど検出されないという結果が得られたのです。
条件検討を重ねたつもりではございますが、同様の結果が再現されるため、根本的なまちがいをしているのかもしれないと思い、ご助言、ご意見を賜りたく、このたびお願い申し上げる次第です。

主な参考文献としまして(1) Saba K et al Am J Pathol 2009 174: 144(2) Sun X et al Gastroenterology 2008 134: 447(3) Krajina T et al Eur J Immunol 2003 33: 1073(4) Fiorucci S et al Immunity 2002 17:769を用いています。
まず粘膜固有層単核球(LPMCs)の分離について申し上げます。
1. BALB/c(8~10週齢)の大腸を縦に切開しPBSで洗浄してdebrisを除き5 mm幅に切る
2. HBSS 1 mM EDTA (Ca、Mg free)中で37℃20分間シェイクして上皮を除く
3. 上清は回収し、PBSで洗浄後、氷中に置き、残る組織はHBSSで洗浄後、ホモジェナイズし、Type V collagenase(Sigma、最終濃度1 mg/ml)(10%牛胎児血清、1%抗生物質を含むIMDM中)処理を行う(37℃1時間)
4. ステップ3での上清画分とcollagenase処理後の画分をmixしメッシュに通す
5. 遠心により回収した細胞を30% Percollに懸濁し、70% Percollに重層する
6. 遠心(750 g x 20分、室温)後、30% Percollと70% Percollの境界面に確認される細胞をLPMCsとして回収し、PBSで洗浄する

ステップ3で上清を回収しているのは、上皮近くに分布する単核球が遊離する可能性を心配したためでございます。

FACS用染色反応は、次のように行っています。
1. Blockingとしてhybridoma 2.4G2培養上清で4℃30分間反応させる
2. 抗F4/80抗体(clone: CI:A3-1)10 ng/ul、抗CD11b抗体(clone: M1/70)3 ng/ul、抗CD11c抗体(clone: HL3)3 ng/ulで4℃30分間反応させる(ネガティブコントロールとしてアイソタイプが同じ抗体での反応も行う)
3. 7-AAD染色(室温15分)後、洗浄し、FACSにより解析する

結果ですが、次のようになりました。
・得られたLPMCs数は大腸1つあたり5 x 10(4乗)~1 x 10(5乗)
・7-AAD陰性率は60~70%
・CD11b陽性率は1~2%
・F4/80、CD11c陽性率はネガティブコントロールの場合と区別がつかない

LPMCs数に関しまして、文献(3)を拝見しますと「CD11c陽性樹状細胞はマウスあたり約5 x 10(5乗)得られた」との記述がございますが、私どもでははるかに少ない結果が続いています。
組織の細切の程度を上げたり、collagenase処理時間を変えたりしてみたのですが、大きな改善には至っておりません。
私どもは他に留意すべきことができていないのでしょうか。

各陽性率に関しまして、文献(2)のsupplementary Figure 2Aを拝見しますと、CD11b陽性率としましては、私どもも同様の結果が得られているように感じられます。
ですが、FACSのドットプロットにおけるF4/80やCD11cの陽性シグナルは、文献(1)のFigure 2Bや文献(3)のFigure 1に比べ、私どもでははるかに少ない結果となっています。
文献(1)や文献(3)のように、F4/80やCD11cの陽性シグナルを得るためには、解析する細胞数をさらに増やす必要があるのでしょうか。

どのようなことでも、ご意見、ご助言、お気づきの点がございましたら、ご指摘、ご教示くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

5件 ( 1 〜 5 )  前 | 次  1/ 1. /1


パスワードを入力してチェックした記事を チェックした記事を