mRNAと蛋白質の挙動が合わない事はよくありますし、理論的にかならずしもおかしな事ではないです。免疫組織染色(IHC)では検出出来てwestern(WB)で検出出来ないということもまた実際、しばしばありますし、おかしくないです。ただIHCではちゃんとみえているというこなので、お考えのような細胞内でその蛋白質の寿命が短くてということではないような気がします。考えられる可能性と対応策を以下にお示ししますので必要に応じて参考にして下さい。
1、抗体の問題。抗体によってはIHCでは使えてWBでは使えない、あるいはその逆というものは時々あります。(どちらかというと後者のケースが多いと思います。WBはOKでIHCで苦労するみたいな。)抗体作成時の抗原やエピトープの場所によるもので、その抗体の優劣ということでなく特性と思って下さい。説明書に適用可能用途が出ていると思いますので確認下さい。
対策:WBに適用可能な抗体を探して新たに購入する。できればWBのデータ付きのものがいい。IHCとWBを違うメーカーのものを使う事は別に構わないです。
2. 組織を構成する細胞全体における発現細胞の割合の問題。組織のなかで特定の限られた細胞集団に発現しているような場合だと、ICHでははっきり分かりますが、WBのようにホモジネナイズして組織蛋白質全体でみると相対的に極めてマイナー成分になってしまうため、量的な問題で検出限界以下になってしまうことはよくあります。IHCで見えてWBで見えない場合、論文でそのように説明することはありますので、どうしてもWBでも見せないといけないとは思いません。あとできればIHCをみたとき量的な変化が肉眼で分かるならよいのですが。
対策:a(難しいけどもし可能なら)細胞の分画、b(細胞内の特定の部位に局在するなら)subcellular fractionation, c部分精製してみる、d界面活性剤ありなしなどlysis bufferを工夫して段階的に抽出する、などいらないものを除いて、いる物を濃縮する方策を講じる。
3. 抽出過程で分解されてしまう。特定のプロテアーゼが抽出過程で活性化してその蛋白質を特異的に分解してしまうという可能性も否定出来ません。
対策:lysis bufferにプロテアーゼインヒビターカクテルを添加する。その後何段階か操作があいるなら、継続して入れる。出来る限り低温操作(氷中〜4C)を守る。組織(細胞)をSDS-sample buffer(ただしbME-, BPB-、protease inhibitors +、室温)中で直接lysisする。組織試料あるいはlysis後のライゼートは凍結融解は最少限になるように注意する。
、 |
|