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モルフォリノアンチセンスについて御聞きします。 トピック削除
No.2393-TOPIC - 2010/04/13 (火) 23:46:55 - ウリリン
お世話になります。

モルフォリノアンチセンスについて御聞きしたいことが有ります。
当研究室ではマウスの卵および胚においてsiRNAによるノックダウンを行っておりますが、モルフォリノはこれまでに使用した経験が有りません。
特に明確な根拠はないのですが、siRNAでノックダウンできなかった遺伝子をモルフォリノで叩くことはできないだろうかと期待しています。

卵はmRNAやタンパク質をかなりの量蓄えながら成長すること、また、培養細胞のように長時間同じ状態(成長段階)を維持したままビトロで培養できない(つまり培養細胞に例えるならば、トランジエントだとしても24時間以上の培養はできないということです)ため遺伝子のノックダウンは難しいと当研究室では考えています。
このことによって、これまでにsiRNAによるノックダウンの成功率は50%と低めです。

ところが、モルフォリノの広告を見ていると、
モルフォリノは受精卵で使うのに適したツールである。
モルフォリノはかなり高い確率でノックダウンができ、1本買うだけで殆どの場合満足のいく結果が得られる
無細胞系ではほぼ完全に翻訳を阻害できた etc

など魅力的な言葉が多数見受けられます。

私は現在RNAレベルでは30%程度までノックダウンできているのにタンパク質レベルではノックダウンが確認できないでいます。このような時原因は、

タンパク質の半減期が長いためなかなかタンパクレベルでのノックダウンができない
 
あるいは

mRNAがタンパク質レベルに影響するほどノックダウンされていない などが考えられます。

前者の場合ではモルフォリノでもあまり改善は期待できませんが、後者である場合、翻訳を(完全に)阻害することでタンパク質レベルでのノックダウンが可能になるのではないかと期待しています。

どなたかモルフォリノアンチセンスとsiRNAの両方を使用した経験のある方、卵や胚でなくても構いませんので、その経験談をあるいは上述の考えについてご意見、ご指導を頂けますでしょうか。

以上宜しく御願い致します。
 
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(無題) 削除/引用
No.2393-7 - 2010/04/16 (金) 19:37:07 - ウリリン
う様

ご返答ありがとうございます。
そうですね。確かにおっしゃる通り、予め翻訳されてタンパクが蓄積されていた場合はGV期でいくら頑張ってもタンパク質は減らすことはできませんね。

Western blotで調べてみたところ、成長中の卵よりも成長を終えたGV卵の方が目的遺伝子と思われるバンドは濃く、減数分裂中は濃さが若干増加傾向にも見えますが、殆ど変化がないです。

よっておっしゃる通り、より以前の段階でのノックダウンを試みる必要が有るかもしれません。

ありがとうございます。大変参考になるご指摘でした。

ただ、In vitroで2週間ほど成長期の卵を培養する系で、ノックダウンを試みたのですが、それでもノックダウンの改善が見られなかった経緯が有りますので

これらを踏まえると、モルフォリノを打って、in vitroで卵を成長させるのが妥当かなと思います。

今一度方向性を検討し直そうと思います。

どうもありがとうございました。

(無題) 削除/引用
No.2393-6 - 2010/04/16 (金) 19:11:53 - う
これを言ったらおしまいですが、遺伝子によるのでやってみなくちゃわからない。

それが結論としても、それ以外で、
まず、考慮しなければならないのは、
卵細胞では、mRNA→タンパク質がいつも起こっているわけではない、ということ。

つまり、stageの後期でmRNAとタンパク質があるからといって
そのstageでmRNAから翻訳されてタンパク質が供給されているのではなくて、
以前のステージで翻訳、蓄積されたタンパク質がパラレルにmRNAと共に存在するだけ、
ってこともあるということです。

実験がよくworkしているものの多くは、
maternalではmRNAしか存在せず、何かのきっかけで翻訳されるタンパク質が
オリゴまたはモルフォリノで翻訳抑制されるもの、か、

翻訳されたタンパク質に分解促進されるような配列があってターンオーバーが早いもの、か

たまたま、か。

まぁ、タンパク質が既に存在する場合、魚類や両生類では、中和抗体というのがお決まりの手だが。

(無題) 削除/引用
No.2393-5 - 2010/04/16 (金) 18:25:36 - ウリリン
>
う様
ご返答とご指導ありがとうございます。
>
siRNAはマイクロインジェクションで導入していますので、モルフォリノもマイクロインジェクション法での導入を検討しています。
ご指摘のノックダウンの定義についてですが、siRNAではmRNAを減少させ、目的タンパク質を減少させることの意味で使いました。
モルフォリノについては、翻訳を阻害し、(mRNA量の変動はどうなるか判りませんが、)目的タンパク質の発現量を減少させることの意味で使いました。

現状を理解していただくために改めて実験のフローと、これまでの結果を簡潔に以下に示します。ご覧下さい。

mouse GV卵(第一減数分裂前期の卵)を採卵後、IBMX(減数分裂再開の阻害剤)を含む培地内でsiRNAをマイクロインジェクションし、さらに12時間インキュベーションしました。12時間後、これらのGV卵をサンプリングしてRT-PCR法で発現量を調べてみると、RNA量は30%程度まで減少していたのですが、免染で目的タンパク質の発現レベルを確認してみると、コントロールと殆ど差がありませんでした。同様の手順でsiRNAをマイクロインジェクションし、24時間インキュベーションしたものも免染で調べましたがタンパク質の減少は見られませんでした。

これを受けて、タンパク質の発現量を減少させるために、

siRNAを変更しmRNAをより減少させることを目指すか
あるいは、翻訳レベルで発現を阻害し、タンパク質の減少を目指す

のいずれかと思います。

そこでまず色々な論文で私と同じ目的遺伝子のsiRNAを用いた実験がなされていたので調べたのですが、良く効いているものでも30%程度までしかmRNAを減少させられていませんでした。ですので、siRNAの配列やメーカーを変更しても大きな改善が望めないと判断し、翻訳レベルでの発現を抑制するモリフォリノに興味を持った次第です。

また、ご指摘のsiRNAの発現量(マイクロインジェクションなので導入量でしょうか)ですが、前回書き込みしましたようにmRNAは30%程まで減少しているので、mRNAレベルでは効果を発揮していると考えています。
濃度などの条件はこれまで当研究室で成功してきたものを踏襲しており、20 uMを数pl導入しています。これで十分かどうかは断言できませんが、これ以上多く打つと死ぬ者が多く出てくるので、「多めの量」打っていると考えています。

目的の遺伝子の受精前後から着床前までの発現量を調べてみると、GV卵で最大値となり、以降発生が進むにつれて減少していくことを確認しています。断定はできませんが、恐らく受精後の発現量は低いようなのでどちらかと言えばmaternalなmRNAからのタンパク質の翻訳を阻害したいことになるかと思います。

この様な現状で、次にモルフォリノを試そうかと考えているのですが、安価な代物でもないので、経験のある方のご意見を承りたく、書き込みをさせていただきました。

以上引き続き宜しく御願い致します。

(無題) 削除/引用
No.2393-4 - 2010/04/16 (金) 09:45:18 - う
ノックダウンという言葉は、
人によって想像していることがちょっとずつ違うので
何を想定しているかはっきり書いた方がわかりやすいです。

卵や胚において、maternalなmRNAの翻訳を抑制する実験は
カエルや魚類でよく行なわれているが、

カエルの場合、詳しい機構はよくわからないが、
オリゴやモルフォリノの注入後、mRNAが分解されていることが確認できることがある。
また、その上記のどちらも、注入後しばらくインキュベーションして
ホルモン刺激や発生をさせると、
maternalなmRNAから翻訳されるべきタンパク質が検出されなくなることがある。

これはあくまで、mRNAに結合して、
そのmRNAを分解する、もしくは翻訳を抑制するということである。
特にmaternalのmRNAの場合、
既に存在するmRNA以外は新たに転写されて供給されないために、
オリゴやモルフォリノは効果的な「こともある」。
しかしながら、私自身はマウスの卵ではよく知らないです。

1つ、いぶかしく思うのは、
質問者がどういうアプローチでsiRNAを使って機能阻害を起こそうと考えているのか、だが、
もし、siRNAをベクターを導入してやろうとしているのなら、
卵ではある時期転写をしなくなって休止期に入るときがあるので、
そのときベクターと言えど転写されているのか?十分な発現をしているのか?
それをどう考えているのか?疑問です。

オリゴやモルフォリノは注入で量を容易にコントロールできるので。

(無題) 削除/引用
No.2393-3 - 2010/04/15 (木) 21:07:40 - ウリリン
>[Re:2] うさんは書きました :
> maternalのmRNAが発現するのを叩きたいのでしょうか?
>
> それとも、新たに発現してくるmRNAを叩きたいのでしょうか?
>
> それによって変わってくるかと。

う様

ご返信ありがとうございます。

 私が叩きたいのはGV卵で発現が最大となる遺伝子で、この遺伝子の減数分裂における役割を知りたいと思っています。

ですので、maternalに相当するかと思われます。

今回のようにmaternalのノックダウンにはモルフォリンは妥当な選択でしょうか?

何卒ご教授を御願い致します。

(無題) 削除/引用
No.2393-2 - 2010/04/15 (木) 11:05:15 - う
maternalのmRNAが発現するのを叩きたいのでしょうか?

それとも、新たに発現してくるmRNAを叩きたいのでしょうか?

それによって変わってくるかと。

モルフォリノアンチセンスについて御聞きします。 削除/引用
No.2393-1 - 2010/04/13 (火) 23:46:55 - ウリリン
お世話になります。

モルフォリノアンチセンスについて御聞きしたいことが有ります。
当研究室ではマウスの卵および胚においてsiRNAによるノックダウンを行っておりますが、モルフォリノはこれまでに使用した経験が有りません。
特に明確な根拠はないのですが、siRNAでノックダウンできなかった遺伝子をモルフォリノで叩くことはできないだろうかと期待しています。

卵はmRNAやタンパク質をかなりの量蓄えながら成長すること、また、培養細胞のように長時間同じ状態(成長段階)を維持したままビトロで培養できない(つまり培養細胞に例えるならば、トランジエントだとしても24時間以上の培養はできないということです)ため遺伝子のノックダウンは難しいと当研究室では考えています。
このことによって、これまでにsiRNAによるノックダウンの成功率は50%と低めです。

ところが、モルフォリノの広告を見ていると、
モルフォリノは受精卵で使うのに適したツールである。
モルフォリノはかなり高い確率でノックダウンができ、1本買うだけで殆どの場合満足のいく結果が得られる
無細胞系ではほぼ完全に翻訳を阻害できた etc

など魅力的な言葉が多数見受けられます。

私は現在RNAレベルでは30%程度までノックダウンできているのにタンパク質レベルではノックダウンが確認できないでいます。このような時原因は、

タンパク質の半減期が長いためなかなかタンパクレベルでのノックダウンができない
 
あるいは

mRNAがタンパク質レベルに影響するほどノックダウンされていない などが考えられます。

前者の場合ではモルフォリノでもあまり改善は期待できませんが、後者である場合、翻訳を(完全に)阻害することでタンパク質レベルでのノックダウンが可能になるのではないかと期待しています。

どなたかモルフォリノアンチセンスとsiRNAの両方を使用した経験のある方、卵や胚でなくても構いませんので、その経験談をあるいは上述の考えについてご意見、ご指導を頂けますでしょうか。

以上宜しく御願い致します。

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