分子内に3つS-S結合を保有する 約13.4 kDaのタンパク質を封入体から回収して以下の条件で希釈リフォールディングしています.
封入体:1.5 mg/ml
変性剤:8 M ureaまたは6 M 塩酸グアニジン
還元剤:50 mM DTT(100℃-10分間処理)
リフォールディング
希釈:DTT処理後,遠心して沈殿を除いた上清を希釈バッファーに100倍希釈
希釈バッファー:20 mM TrisHCl, 1 mM GSSG, 0.1 GSH, pH 9.4
温度:4℃
リフォールディングまでの各段階のサンプルを非還元条件でSDS-PAGEすると,
DTT処理後リフォールディング前のサンプルでは,当然のごとく14.4 kDaマーカーのすぐ下にメインバンドが現れます.
リフォールディングされ分子内でS-S結合が形成されれば見かけ上の分子量が小さくなるので,
リフォールディング後サンプルではこれより下にバンドが現われると思われたのですが,
overnightでリフォールディングしてもバンドパターンは変化せず,
5日後,10日後のサンプルだと14.4 kDaより上に現れてしまいます.
S-S結合で繋がってしまったダイマーと考えることもできるのですが,
ダイマーはダイマーで相応の位置(21 - 31kDaの間)に現れています.
(トリマーやテトラマーと思われるものも別の位置に出ています)
これはどう説明つくのでしょうか...?
普通に考えれば,
変性タンパク質をDTT処理すればS-S結合が切れてが一本鎖になり,
希釈して変性剤・還元剤を薄めれば巻き戻ってS-S結合が形成されコンパクトになるはずですが... |
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