pLysを持たない宿主、たとえばBL21DE3にするというのがストレートな方法ではないでしょうか。
宿主にpLysを持たせる理由の第一は、lysozymeがT7 RNA polを阻害することを利用して、発現誘導をかけない状態でのleakyな発現をより強く抑制するためです。発現産物が毒性を持つ場合、leakyな発現が起こるとベクターを保持した菌が増殖しない場合に効果が期待できます。
一方で、lysozymeは細胞壁の形成を阻害するという作用があります。細胞壁がもろくなることを利用すると、浸透圧ショックと凍結融解だけでlysateにすることができます。しかし、ペリプラズムに発現させたタンパク質は、細胞壁がしっかりしていないと培地にもれてしまうことになります。これが、ペリプラズムに発現する場合、pLys宿主は不適当であることの理由です。したがって、あげておられる3つの方法は根本的な解決にはならないでしょう。
pLysを持たない宿主でペリプラズム発現し、lysozyme処理で細胞壁を壊せば、細胞質由来のタンパク質の混入を抑えてペリプラズムだけ溶出できて、精製しやすくなることも期待できます。
ペリプラズムに発現させるというのも、細胞質に発現すると毒性があるとか、分解されやすいとか、精製ストラテジーの都合とか、それなりの理由で選択される方法のひとつにすぎません。どうしてもpLys宿主にしなければならない理由があるなら、ペリプラズム発現をあきらめて細胞質発現に切り替えるというのも選択肢の一つでしょう。 |
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