あまり教科書にはまだ書かれていないかもしれませんが、呼吸中枢を構成する延髄のニューロンで、吸息時に活動が増えるニューロン(本来はこのニューロンの活動が増えるので吸息になるというべきかもしれません)の中に、互いにポジティーブ・フィードバック結合しているニューロン群(IAニューロンと呼ぶことにします)があります。このIAニューロン群のひとつのニューロンがなんらかのきっかけで活動を開始するとポジティーブフィードバックなのでこのIAニューロン群全体が興奮を開始します。これらIAニューロン群はすぐに最大発火頻度になるはずですがちょっと違います。それは、IAニューロン群を抑制するニューロンがあってこのニューロンはIAニューロン群から興奮性入力を受けで興奮します(この抑制性ニューロンも吸息相に活動するので吸息ニューロンに分類されます)。この抑制性ニューロンは、たとえ興奮性入力が持続的にあっても活動を維持できないという性質があります。したがって最初に述べたポジティーブ・フィードバックで互いに結合しているIAニューロン群への抑制が次第になくなります。その結果IAニューロン群は最初活動頻度が低いが、次第に抑制がなくなり活動頻度が高くなるわけです。IAニューロン群の一部が横隔膜の運動ニューロンを興奮性に駆動するので、吸息時に横隔膜の収縮が次第に大きくなるわけです。吸息が呼息へスイッチするメカニズム(ここの主題でないから省略)があってIAニューロン群の活動は大きな抑制を受けて急に活動が停止します(呼息相の開始)。ここまでが吸息相になるわけです。つたない文章で理解していただけたでしょうか?正のフィードバックの一例です。 |
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