バッファーは電離度の低い(一部の分子が電離するが未電離の分子も残る)、弱酸または弱塩基に、それぞれ強塩基または強酸(完全に電離する)の組み合わせで作ります。
○mol/LのXXバッファーというと、この弱酸または弱塩基の濃度が○mol/Lということです。1 mol/LのTris-HClバッファーというと、弱塩基であるTrisが1 mol/Lで、目的のpHになるようにH+の濃度をHClで調整したものです。
リン酸ナトリウムバッファーは、結局、弱酸であるリン酸を目的のpHになるようにOH-濃度(H+濃度とも言えますが)をNaOHで調整したものだろうと、リン酸のナトリウム塩Na2HPO4とNaH2PO4を混ぜてpHを作ろうと、リン酸基の濃度とpHが同じなら変わりません。
もうわかったと思いますが、NaOHでpHを合わせて良いならHClで合わせても良いだろうというのは間違いです。リン酸とHClでは弱酸と強酸の組み合わせになるので、これでpHを合わせても、H+をHClでまかなった分は緩衝能がありません。単純に言うと、この分はNa+と中和塩を生じることになって、緩衝能のないNaClを溶かしたのと同じことで、出来損ないのPBSになってしまいます。 |
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