すでに述べられてますが、生物に遺伝子を導入するにはいくつかの要素技術が必要です。
1)遺伝子をコードするDNA断片を生物の細胞内に入れる技術。
パーティクルガンやアグロを使う方法がそれです。
2)遺伝子を細胞内で発現させる技術。
プロモーターの塩基配列は生物によって違いますし、同じ生物でも細胞によって発現レベルが変わります。
この技術を検証するためにはよく一過的発現の解析が行われます。
3)導入した遺伝子を細胞に保持させる技術。
異物を排除する機能もあるので、細胞内で安定化させるには工夫が必要です。
生物種によってはプラスミドとして保持することもありますが、植物では?
ゲノムにインテグレートさせるのが近道です。パーティクルガンで導入した遺伝子が発現したからといって、ゲノムにインテグレートされたことにはなりません。
通常抗生物質耐性遺伝子を導入して発現させることで、導入遺伝子を安定して保持する細胞を選抜します。
4)個体として再生・成長させる技術。
通常遺伝子導入は細胞レベルで行われますので、1つの細胞から個体を再生させなければ、遺伝子導入植物とはなりません。
アグロの系がよく用いられるのは、いったんカルスという細胞のかたまりを形成するので、そこからホルモン誘導で個体再生させることが比較的容易だからという理由もあります。
引用されてるaffrcドメインの文章は、樹木の遺伝子導入においてこれらのうちのいくつかの技術を開発できたと成果を謳っているわけです。
段落の途切れに注意して読む必要があるかと思います。
ちなみに医療分野で最近騒がれているiPS細胞は、何十年か前には不可能と考えられていた哺乳類で体細胞からの個体再生が可能であることを証明できたという意味もあります。 |
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