> Phos-tagアクリルアミドに関して:
> Phos-tagの添加濃度に依存してRfが変化することをトラブルシューティングで示されていますが(非リン酸化タンパク質でも)、この理由はどのようにお考えでしょうか。非リン酸化タンパク質もPhos-tag-Mnと相互作用していると考えてもよろしいでしょうか。
はい,非リン酸化蛋白質のカルボキシル基と相互作用していると考えております。本来Phos-tagは亜鉛錯体(下のPhos-tagアガロースは亜鉛錯体です)として開発しました。マンガン錯体ですと選択性が低下します。
> Phos-tagアガロースに関して:
> Lysate/Elution/Flow-throughのSYPRO RubyとPhos-tagビオチン染色のデータから、リン酸化タンパク質がほとんど漏れなく濃縮できていることが確認できます。ただ、ElutionのSYPRO染色において非特異的(非リン酸化タンパク)なバンドが多く認められますが、どの程度の非リン酸化タンパクが混入するのか?またどのような非リン酸化タンパクが混入しやすいのか?データはお持ちでしょうか。
「ElutionのSYPRO染色において非特異的(非リン酸化タンパク)なバンドが多く認められる」と書かれておりますが,これはどのような方法で確認されたのでしょうか?私たちもどの程度の非リン酸化蛋白質が混入するのか興味があるところです。実際に,溶出画分を2次元展開しSYPRO Ruby染色した後,ランダムに選択したいくつかのスポットのMS解析を第3者機関に依頼したことがあります。すべてのスポットにおいて,リン酸化蛋白質として同定されました。現時点ではデータをもっておりません。すみません。ただ,どのような非リン酸化蛋白質が混入しやすいかについては,恐らく,クロマト担体(ここではアガロースビーズ)に吸着しやすいような蛋白質と予想しております。細胞溶解液に含まれる蛋白質をプロテアーゼ消化処理し,リン酸化ペプチドをターゲットに解析されている研究者ならば,どういった配列がPhos-tagアガロースに吸着しやすいのかといった情報を持っているのもしれません。
> Phos-tagを含め、その他市販のリン酸化タンパク質濃縮ゲル(IDA-Ga/Fe, NTA-Ga/Fe, BAPTA-Ga, TiO2, など完全に把握は出来ていませんが)との比較データは開示されていますでしょうか。(Phos-tagのメリットは?)
Phos-tagのメリットは中性領域ですべてのクロマトワークができるということだと思います。よって,リン酸化蛋白質を本来の生理環境に近い状態で分取できます。上記他社のものでは金属の性質上,難しいのではと考えております。消化後のリン酸化ペプチドを標的とした比較データは私たち以外の研究グループがごく最近発表しております。下記の文献を参考にしてみてください。
Improved method of phosphopeptides enrichment using biphasic Phos-tag/C18 tip for versatile analysis of phosphorylation dynamics.
Nabetani T, Kim YJ, Watanabe M, Ohashi Y, Kamiguchi H, Hirabayashi Y.
Proteomics. 2009 Oct 15. [Epub ahead of print]
> (以下は木下先生にお話する内容では無いのですが、上記メリットと絡めて、Phos-tagは他の市販品と比べて少し高額なので(メーカーや販社に伝えたい内容ですが)、市販されている状況においてのコストメリットをアピールして頂くようお願いしたく思っております。)
ご迷惑をお掛けしております。できるだけ多くの方々にご使用頂けるように努力したいと思っております。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。 |
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