サンプルバッファーで細胞を溶かしてWBにもっていくのは昔から一般的によくおこなわれていますし、それ自体は問題ないように思います。ただこの方法ではDNAが解けて粘性が出てきますので、超音波あるいは細い針のシリンジでDNAをせん断してサラサラにする必要があります。またSDSでも完全に溶けない凝集物もわずかながらあることもよくあるので、その操作のあとに、1000-12000xgくらいで5−10分くらい遠心してそういうゴミを除きます(低温だとSDSが析出することがあるので、温度は15-20Cくらいがいい)。こうして得たきれいな蛋白質抽出液について蛋白質定量します。DNAの粘性があると正確なピペット操作が難しいですし、微細なゴミがあるような不均一な溶液でもまた正確な定量はできないので、一見瑣末なことのようですが、こうした処理は結構大切です。あと定量は一応デュプリケートでやるといいでしょう。また検量線の直線性のある範囲で測定できているかなども再度確認しましょう。ウェスタンではオーバーロディングすると、蛋白質が膜から脱落したり、シグナルが飽和して定量的な変化が見えなくなりますので、蛋白質のアプライ量も多すぎないように気をつけましょう。
凍結融解の繰り返しは細胞を壊す際に行われることがありますが、プロテアーゼの働く恐れはあると思います。もちろんクマシー染色でもわかるような明らかな分解はみえないと思いますが、個々の蛋白質についてみるとありえると思います。とりあえずプロテアーゼインヒビターは必要でしょう。
SDSならそういう問題はある程度回避できますが、SDS中で煮沸したサンプルでも保存中にゆっくりプロテアーゼが働くことはありえるのでけっして過信できません。-20Cに長くおいておくとWBではじめのころ見られなかった分解物が徐々に増えてきた経験があります。凍結融解繰り返すととくにそういうことがあります。SDSサンプルでも-80Cで保存して、かつ何回も使うなら小分けした方がいいです。 |
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