>そのタンパクはN末にシグナル配列が付いており、細胞内でそれがプロテアーゼで切断され、それで細胞外へ分泌されますが、私はその興味ある遺伝子から作られる全長のタンパクのN末側にタグを持ってきてしまいました。
教科書的には、N末のシグナルペプチド(20 aa程度の疎水性リッチなストレッチ)は、翻訳中のペプチドがERに進入するのに必要です。ERへの進入はN末のシグナルペプチドが合成された時点で始まり、ある程度進入した時点で切り離されますが、それに続くペプチドは合成されるはしからERに取り込まれます。ER内に取り込まれたタンパク質は、糖鎖修飾を受けたり、そこから小胞輸送系にのって、分泌されたり、膜タンパク質なら細胞膜にインテグレートしたりします。
N末端が即、疎水性のストレッチになっていないなら、ER内にペプチドが取り込まれるということが起こらないわけです。なので、分泌されないだけでなく、本来受けるべき糖鎖修飾もシグナルペプチドの切断も起こりえません(もしシグナルの切断が起こるとしても、同時にタグが外れてしまうので役に立たなくなるわけですが)。
もし、目的の実験が、mature form(シグナル切断済み)である必要も、糖鎖修飾済みの必要もないなら、細胞質タンパク質として発現されたタンパク質を生成するという方法もあるとは思います。 |
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