1.の回答
リンクされている先のプロトコールを見るとTCA沈殿を溶解するためにTritonだけでなくUreaやLiDSなどの強い変性剤も使っていますね。可溶化にはこれらが効いているのだと思います。TCA沈殿では蛋白質は酸変性して強く凝集していますから、Tritonだけでは無理でしょう。免疫沈降に使うならばこうした強力な変性剤を高濃度を含むような溶液中では難しいので、いったん沈殿を可溶化した後で、かなり希釈する必要があるでしょう。この辺の加減は抗原や抗体の性質にかなり依存するのでこれくらいならOKということは一概に言えないですが、免疫沈降に適用可能な比較的マイルドなbufferに少なくとも10倍以上希釈する必要があるでしょう。経験では2%SDSで可溶化した後で、1%トライトンを含むbufferで20倍希釈(つまりSDSを0.1%まで下げた)して免疫沈降したことがありますが、でも抗体によっては0.05%SDSまで下げても全然ダメなものもありました。また一度凝集させたものを可溶化すると、希釈すると再び不溶化(希釈後すぐにでなくて、ゆっくり出現することもあるので注意)することも少なくないので結構難しいです。(再不溶化物を免疫沈降物と誤認すると非常にまずいのでnormal IgGによるcontrol実験は特に重要。)
TCAで蛋白質は変性するので、蛋白質同士の非共有結合的な相互作用は壊れます。よって、蛋白質相互作用ような実験には適さないとおもいます。また変性までさせなくても比較的強いデタージェントでは分子間相互作用を壊したり弱めたりするものもあるので、使用するデタージェントの適否は論文等でよく調べた方がいいです。
それと変性しても、希釈や中和によりある程度再生する可能性も多少あるかもしれませんが、もとの天然状態のときの相互作用が回復するまでは望めないとおもいます。分子間の架橋など共有結合は(酸に安定な結合ならば)保持されると思います。
2の回答
Triton X-100とNP-40は同じグループのデタージェントで働きもよく似ています。代用は可能と思います。TritonがないのでNP-40を使う(またはその反対)ということはしばしばあります。
Tritonがリン酸化蛋白質に向かないことは初めて聞きました。もしもほんとにそうなら上記の理由からNP-40もまた合わないような気がします。 |
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