よく行われるたとえばpull-down assayで翻訳後修飾などを調べるとか、GFPつけて細胞内局在みるとかみたいな実験なら大抵の場合は1種類のタグで目的は達成できます。だから多くの研究では1種類のタグで行われているとおもいます。
しかし、たとえば、タグをつけた蛋白質をきわめて多種類の蛋白質の混合物である細胞総抽出物からできるだけ高度に精製したいとき、あるいはタグをつけた蛋白質と相互作用するような蛋白質をタグ蛋白質と一緒に共精製したいというような場合は、関係ない蛋白質は極力排除して、出来るだけきれいなものを得る必要があります。たとえば動物細胞にHis-tag蛋白質を発現させてそれをニッケル/コバルトカラムなどで精製したものをクマシーで蛋白質染色すると分かると思いますが、アフィ二ティー精製しても、実際にはtag-蛋白質以外にもそれ以外にも多種類の蛋白質(コンタミナント)がまだたくさん含まれていると思います。単に細胞抽出物をカラムにかけてもおなじような蛋白質が担体にくっつくので非特異的な相互作用によるものが多いとおもいます。つまり現実的には1つのアフィ二ティー精製では思ったほど精製度は上がらないことが多いのです。そのため2種類の異なるアフィニティータグをつけて、2種類の異なるタイプのアフィニティー精製を組み合わせることでより精製度を上げようという試みがなされるようになり、蛋白質複合体の解析などを調べるような研究にこうした方法が多用されるようになってきたのです。ときにはタグの間に特異的プロテアーゼ感受性配列を入れる場合もあります。(つまり1回目のアフィニティー精製、プロテアーゼではじめのタグを切断して溶出、2回目のアフィニティー精製の3段階。)どのようなタグを組み合わせるのがより効果的かは重要な点でしょう。
ただ、最近はSILACなどのラベル化を利用すれば、コントロール(tag-蛋白質(ー)の細胞の抽出物)をしっかりとっていれば、ある程度コンタミナントがあってもLC-MS/MSで信頼できるデータが得られるようです。 |
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