ウェスタンブロッティングにおける抗体のストリッピングについて皆さんの意見を伺いたいと思い、
書き込みます。普段ストリッピングはほとんどしないのであまり経験がないのですが、以下の手順で
ストリッピング(とそれに続く二回目のWB)を行ったところ、おかしな結果を得ました。
1. 一回目のWB: 抗リン酸化ERK抗体(ウサギ、CST#4370)によって行い、検出。
2. 2% SDS, 100 mM 2-mercaptoethanol, 62.5 mM Tris-HCl, pH6.7で50度30分処理により
ストリッピング。(Cytivaのページにあったプロトコル)
3. 二回目のWB: 抗ERK抗体(ウサギ、CST#4695)によって行い、検出。
なお、一回目のWBでは抗αチューブリン抗体(マウス)も共に加え、multiplexで行っています。
結果:
一回目: αチューブリンのシグナルにはバラつきなし。ERKリン酸化レベルが高いことが予想される
レーンはリン酸化ERKのシグナルが強く(3倍程度)、予想通り。
ストリッピング後の二回目: 一回目のリン酸化ERKシグナルが強いレーンでは全ERKのシグナルは弱く、
逆に弱いレーンでは強く検出された。
考察:
全ERK量がそれほど変動することはあまり考えにくい。実際、別のメンブレンで全ERKに対するWBを
先に行ったところ、そのような変動は観察できなかった。
実は一回目の抗体は剥れておらずERK上に残っており、二回目の抗ERK抗体との間で立体障害がある
のではないか。ストリッピング操作は抗体を剥すというよりも、一次抗体分子のS-S架橋を切ったり
することにより、二次抗体に対する抗原性を失なわせているだけなのではないか。
もちろん、抗原、抗体依存だとは思いますが、ストリッピング操作で明らかに抗体を除けたという
経験がおありの方は教えていただければ幸いです。
なお、一次抗体の動物種を変えてストリッピング操作をなくす(HRPを失活させるのみにする)、という
のはすでに試しています。その場合も(文献で使われているような抗体のペアであっても)何となく立体
障害が疑われる傾向があったのでストリッピングを試している次第です。
duplicateの別メンブレンで十分という意見もあるでしょうし、自分もそう思ってきました。ただ、執拗
に同一メンブレンに拘るreviewerがいたりもするので、ストリッピングの妥当性を知りたいと思って
います。 |
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