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レンチウイルス感染による細胞増殖率の低下 トピック削除
No.9675-TOPIC - 2021/05/13 (木) 21:29:00 - aiaioui
表皮初代培養細胞を分化させ、表皮構造を再現する培養系を用いて実験しています。この培養系の特徴から、恒常的な遺伝子発現と高い遺伝子導入効率が必要であったため、レンチウイルスによる遺伝子導入系を立ち上げました。

感染効率は良好で、遺伝子の発現も確認できたのですが、感染後は細胞の増殖スピードが目に見えて低下します。そのせいか、分化刺激後の培養がうまくいきません。

マーカー遺伝子としてピューロマイシン耐性遺伝子がEF1やPGKプロモーターによって発現するベクターとなっていますが、本来必要のないタンパク質を恒常的に作らせることによるストレスでもあるのでしょうか。または、そもそもレンチウイルスの感染が細胞の増殖速度を低下させるものなのでしょうか。

もちろん検証実験を行うことを予定しておりますが、似たような経験がある方や解決策をご存じの方おりましたら、ぜひご教授いただけませんでしょうか。
 
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無事、分化誘導と遺伝子導入を両立できました。 解決済み 削除/引用
No.9675-13 - 2021/05/30 (日) 10:41:33 - aiaioui
皆様

ご報告が遅くなり大変申し訳ありません。
無事、無事感染することができました!

どうやら、培養液の持ち込みが影響していたようです。
PBSでの置換を2回挟んだところ、回収できたウイルス量は減りましたが、その後の感染→分化誘導がうまくいきました。
これで実験を進めることができます。

この度は、相談に乗ってくださり本当にありがとうございました!

(無題) 削除/引用
No.9675-12 - 2021/05/18 (火) 22:03:44 - aiaioui
皆様からの様々な意見をありがとうございます。レンチによる遺伝子導入系について相談できる人がまわりに少ない中で、このフォーラムでたくさんの意見をいただき、感謝しかありません。本当にありがとうございます。

皆様に相談させていただく中で、

・ウイルス産生細胞由来の物質混入の可能性
・Polybrene濃度

の2点を気にすべきだと思いました。

実は裏側でウイルス検討のための準備や培養をはじめており、1週間程度で結果が出る見込みです。結果がどうであれ、お世話になりました皆様に報告してトピックを閉じたいと思っています。

ウイルスは限外ろ過を使用し、精製しています。超遠心についても試みましたが、限外ろ過の方がたくさんのウイルスを得ることができたため、こちらを採用しました。限外ろ過を用いているため、ホストからの持ち込みは一定の分子量以上は除けませんが、PBSによる置換を挟むことにより、影響は最小限に抑えられるのではないかと考えています。

また、polybraneについては濃度を減らして2 ug/mlと入れない群の2つを検証するつもりです。

(無題) 削除/引用
No.9675-11 - 2021/05/18 (火) 10:38:49 - asan
>「その遺伝子」というのはピューロマイシン耐性遺伝子ということで間違いなかったでしょうか。確かな根拠があるわけではないのですが、マーカー遺伝子として非常によく用いられている印象があったので、勝手に毒性はないものだと判断していました。

その、導入した遺伝子の効果によって増殖に不利な影響がないと言い切れるか、それが原因ではないか、ということです。


話を聞いてるとポリブレン毒性が問題になってる部分もあると思います。
自分ならポリブレンの濃度を下げるか、ポリブレンなしで実験をして見ます。
導入効率が悪くて問題ならば、レトロネクチンとか非カチオンポリマー系のものを使うってのもありでしょう。

(無題) 削除/引用
No.9675-10 - 2021/05/17 (月) 05:18:12 - おお
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0006291X99909543
GFPに毒性があるという話を聞きますね。
HEK293Tにどのように導入しているかわかりませんけどケラチノサイトならカルシウムの持ち込みは気になるところです。

MOIを聞いたのは以下の経験があったからです。
293から作った株にレンチを導入したのですが、レンチはTet誘導性shRNAのベクターでした。ウイルスを含むHEK293Tの上清を1:1のConditioned mediumで導入させたんですが、Tet誘導してない状態で細胞の形態が丸くなり、増殖はするけどかなり細胞に負担をかけているなと思ったことがあります。Tet誘導用のTet リプレッサーもベクターで発現されているのでそれが原因の可能性は否定できないのですが、MOI多すぎもどんなものかなと。

(無題) 削除/引用
No.9675-9 - 2021/05/16 (日) 14:07:37 - mp
ちなみにパッケージングは第ニ世代ですか?第二だとtatが持ち込まれ悪さをするという論文があったような気がします。それから濃縮はどのようにされているのでしょうか?培養液の持ち込みを気にするなら超遠心での精製がベターかと思います。primaryの細胞を使っているのなら尚更です。

(無題) 削除/引用
No.9675-8 - 2021/05/16 (日) 11:48:58 - aiaioui
medpf様

返信いただきありがとうございます。言葉足らずなところがありました。捕捉します。

> Mockは、ウイルスベクターを含まない溶液(例えば、envとgag-polだけトランスフェクションしたHEK293Tの上清)を用いたという事でしょうか?

ここでの「Mock」は、空の強制発現用ベクターを指していました。


> であれば、ウイルス感染実験の過程で、ウイルスそのものには無関係な問題がある、例えば、HEK293Tの上清に含まれる分泌タンパクの中に、ケラチノサイトの増殖に影響する因子(TGFbetaなど)が含まれる可能性とか、どうでしょう? 確か大腸ガンの細胞株だったと思うのですが、HEK293Tの上清を50%入れて培養したら増殖が抑制された経験があります。MOI=10にするのにウイルス溶液はどれくらい入れてますか?

この点については全くの盲点でした。293Tから持ち込まれる物質は、ウイルスの精製過程である程度除かれるものと考えていましたが、影響している可能性があるかもしれません。ウイルスは、7 mlの培地に〜80倍程度に濃縮したものを20-100 ul程度添加し使用しています(10 cm dish)。


> 試しにMOIを下げて、導入効率を50%くらいにしてGFPを追跡してみたらどうでしょう?

感染が増殖低下を起こしているかどうかを明確な形で示すということですね。確かに、感染後の細胞の増殖速度の低下は感覚的なものでした。しかし、感染させない細胞と、空ベクターを感染させた細胞では、なにもしない細胞の方が早くコンフルになりました。

(無題) 削除/引用
No.9675-7 - 2021/05/16 (日) 02:21:25 - medpf
> Mockでも同様でした。

Mockは、ウイルスベクターを含まない溶液(例えば、envとgag-polだけトランスフェクションしたHEK293Tの上清)を用いたという事でしょうか? であれば、ウイルス感染実験の過程で、ウイルスそのものには無関係な問題がある、例えば、HEK293Tの上清に含まれる分泌タンパクの中に、ケラチノサイトの増殖に影響する因子(TGFbetaなど)が含まれる可能性とか、どうでしょう? 確か大腸ガンの細胞株だったと思うのですが、HEK293Tの上清を50%入れて培養したら増殖が抑制された経験があります。MOI=10にするのにウイルス溶液はどれくらい入れてますか?

ケラチノサイトの初代培養はやった事がありませんが、自分が使ったプライマリーの細胞(腫瘍細胞由来、あるいは正常組織の造血系または線維芽細胞)では、EF1やPGKプロモーターのレンチウイルスでEGFPを発現して明らかな増殖抑制がかかったのを見た事はありません。試しにMOIを下げて、導入効率を50%くらいにしてGFPを追跡してみたらどうでしょう? もしウイルス感染細胞(GFP陽性)で増殖抑制がかかっているなら、培養を続けるうちにGFP陰性の比率が上がっていくと思います。

(無題) 削除/引用
No.9675-6 - 2021/05/15 (土) 17:37:45 - aiaioui
asan様

返信ありがとうございます。



> ないとは言いませんけど、その遺伝子が増殖に不利にならないという根拠はないんですか?

「その遺伝子」というのはピューロマイシン耐性遺伝子ということで間違いなかったでしょうか。確かな根拠があるわけではないのですが、マーカー遺伝子として非常によく用いられている印象があったので、勝手に毒性はないものだと判断していました。



> 普通は起きません。感染直後のウイルス感染の影響やポリブレンなどの使ってる物によっては細胞毒性でへたることはあり、特にプライマリーはダメージを受けやすいこともありますけど、きちんと感染された細胞を薬剤セレクションなどで選別してやったなら問題がおきることはないです。

感染直後の影響というものがあるのでしょうか。存じ上げなかったのですが、どのような影響が現れるのでしょうか。

ポリブレンは5 ug/mlで使用し、感染時間は一晩です。翌日培地交換し、耐性遺伝子の蓄積を目的に一日置いています。その翌日に、1.5 ug/mlのピューロマイシンでセレクションをかけています。
しかし、セレクションの翌日に細胞を観察すると、これまで少し角ばっていた細胞が丸く、平たくつぶれたような、明らかにストレスを受けているような形態を示します。CMV_GFP_EF1_Puroといったベクターを検討用に用いているので、蛍光観察も併せて行っていますが、GFP陽性、陰性にかかわらず、細胞は丸くなっています。このセレクション後に最も細胞の増殖が落ちてしまいます。GFPの観察から導入効率は90%以上であったので、セレクションは行わず実験を継続していこうと考えていました。(話題がそれました。申し訳ありません。)



> というか、それを前提にするならばバックボーンやGFPだけの発現プロトコールで事前に検証するとか、コントロールを取ればいいだけの話です。
>
> プロモーターはその遺伝子の発現効率に影響するでしょうが、他の場所に影響するなんてことを前提に通常は変えたりはしないと思いますね

先にも述べたのですが、検討用として恒常的にGFPとピューロマイシン耐性遺伝子を発現するベクターを用いています。この場合にも増殖率の低下が見られ、Mockでも同様でした。
用いているベクターはSBIのものです。

強制発現用
https://systembio.com/shop/pcdh-cmv-mcs-ef1%CE%B1-puro-cdna-dual-promoter-cloning-and-expression-lentivector/

shRNA用
https://systembio.com/shop/psih1-h1-puro-shrna-cloning-and-expression-vector/

(無題) 削除/引用
No.9675-5 - 2021/05/15 (土) 09:43:43 - asan
>マーカー遺伝子としてピューロマイシン耐性遺伝子がEF1やPGKプロモーターによって発現するベクターとなっていますが、本来必要のないタンパク質を恒常的に作らせることによるストレスでもあるのでしょうか。

ないとは言いませんけど、その遺伝子が増殖に不利にならないという根拠はないんですか?

>または、そもそもレンチウイルスの感染が細胞の増殖速度を低下させるものなのでしょうか。

普通は起きません。感染直後のウイルス感染の影響やポリブレンなどの使ってる物によっては細胞毒性でへたることはあり、特にプライマリーはダメージを受けやすいこともありますけど、きちんと感染された細胞を薬剤セレクションなどで選別してやったなら問題がおきることはないです。

というか、それを前提にするならばバックボーンやGFPだけの発現プロトコールで事前に検証するとか、コントロールを取ればいいだけの話です。

プロモーターはその遺伝子の発現効率に影響するでしょうが、他の場所に影響するなんてことを前提に通常は変えたりはしないと思いますね

(無題) 削除/引用
No.9675-4 - 2021/05/14 (金) 19:00:48 - aiaioui
>[Re:2] おおさんは書きました :
> MOIは?

おお様

shRNAを発現するベクターについてはMOI=5、遺伝子強制発現用ベクターは感染効率の低下を考慮してMOI=10にしています。

文献を調べたうえで決定しましたが、高すぎたでしょうか。確かに既報で一番小さいMOIは1でしたが、30以上という論文もありました。

(無題) 削除/引用
No.9675-2 - 2021/05/14 (金) 08:19:50 - おお
MOIは?

レンチウイルス感染による細胞増殖率の低下 削除/引用
No.9675-1 - 2021/05/13 (木) 21:29:00 - aiaioui
表皮初代培養細胞を分化させ、表皮構造を再現する培養系を用いて実験しています。この培養系の特徴から、恒常的な遺伝子発現と高い遺伝子導入効率が必要であったため、レンチウイルスによる遺伝子導入系を立ち上げました。

感染効率は良好で、遺伝子の発現も確認できたのですが、感染後は細胞の増殖スピードが目に見えて低下します。そのせいか、分化刺激後の培養がうまくいきません。

マーカー遺伝子としてピューロマイシン耐性遺伝子がEF1やPGKプロモーターによって発現するベクターとなっていますが、本来必要のないタンパク質を恒常的に作らせることによるストレスでもあるのでしょうか。または、そもそもレンチウイルスの感染が細胞の増殖速度を低下させるものなのでしょうか。

もちろん検証実験を行うことを予定しておりますが、似たような経験がある方や解決策をご存じの方おりましたら、ぜひご教授いただけませんでしょうか。

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