そもそも二本差ヘアピンによるKDは配列特異性がゆるいことが知られており、それによって通常の目的とは違うものが抑制される可能性が高く、すなわちオフターゲット効果を排除する目的で複数の配列で検証することが慣例として行われているだけです。(例えばCell173, 665–676, April 19, 2018 Fig.5E, F, G shRNAの効果を参照 )
ただし、最近は複数のsi配列を混ぜたコンストラクトがメーカーによって効果が保証されて売られており、配列が非公開だったりしますが、これを使ってノックダウンできたというデータをだしてもオフターゲットについて厳密に文句言われない場合もあるでしょうからそれを考えたらシングルでも目的遺伝子の発現が減少してればIFの低いジャーナルではあまり厳しく突っ込まれないケースもあるでしょう。そのデーターだけで議論するのでないのであれば、全体のデータとして一貫性があればよしとする考え方もあるのでね。CRISPRなんかによるKOはまた違ういみでオフターゲットや、シングルクローンのクローナルな効果などの議論はあると思うけど、それはsiのオフターゲットとはまた違った議論。
上の2つの事実を考えたら、siで同じことを示すよりも、siとCRISPR KOの異なるアプローチで同じ効果を期待して同様のアウトプットを示すほうがその現象に対する客観的な効果が正しいということがより説明できるとかんがえるのは自然だよね。だから1つのデータで示さなくて、それぞれ別々にコントロールを置いてfigureを作れば見栄えだけの問題なら解決すると思います。それで科学的には何も問題ないんだから、レビューワーがよくわからん指摘をしてきたらちゃんと説明すれば問題ないでしょう。
慣例的に何をどのように示したらいいかを学ぶことは重要だけど、そうでなければいけないと勝手に決めつけてそれではダメみたいな絶対論をする人はそもそも科学的な思考を見失っている。 ただし、それぞれオフターゲットとして意図してるものは微妙に違うので、そういう影響はそれぞれの異なるアプローチではクリアできない点は注意する必要はある。ただ、複数のデータがあるなかでそれだけにこだわるのは生産的ではないからどこまで論文の全体の主張の中でそれに重要性があるか次第でしょうね。
自分なら、トライして難しいというならそのデータで自然な形の図表を作る。レビューで指摘されてその指摘が科学的に妥当な指摘だと思うなら、時にやるかどうか考えればいい。
でもノックアウトがうまくいってないのに1つだけクローンが取れたからそれを使ってあとは諦めるってのはそもそもその1つは本当に大丈夫?ってほうが個人的には不安だけどな。 |
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