ピペット経由かどうか特定できないと思いますが、特定するのは困難なので、現実的に行える対策を全部やる、という以外にやりようはないと思います。
うちでやっている対策を以下に紹介します。
1. PCR前のDNAを扱う部屋とPCR後のDNAを扱う部屋の分離
PCR後のDNAはとても濃いので、PCR前のDNAを扱う部屋・領域に持ち込んではいけません。部屋が完全に分けられない場合は、クリーンベンチを用いてください。PCR前のDNA用クリーンベンチと、PCR後のDNA用クリーンベンチを用意して、それぞれできるだけその中でだけ扱います。なお、使用後に紫外線照射、作業前にファンを回して中をクリーンにしますが、作業中はファンは止めます。風でサンプル間コンタミするからです。なので、安全キャビネットみたいな高級品である必要はありません。十分に大きなクリーンベンチを2台用意できるといいですが、難しければPCR後のDNA用クリーンベンチだけ用意します。なお、PCR前のDNAを扱う作業後にPCR後のDNAを扱う作業はしても構いませんが、PCR後のDNAを扱う作業後にPCR前のDNAを扱う作業は基本的にしません。
2. 作業前、作業後の作業台のDNA除去
クリーンベンチ外での作業が必要な場合、クリーンベンチは使わずに部屋を分けた場合、作業台は作業前に99%エタノールを吹いてからペーパータオルで拭き取っています。作業後はDNA AWAYやDNA OFFを染み込ませたペーパータオルで拭き取っています。その他、使用する機材のうち、漂白や紫外線照射が難しいものもDNA AWAYやDNA OFFを染み込ませたペーパータオルで拭き取ります。毎回必ずやります。
3. チューブラックや遠心機ローターのDNA除去
チューブラックなどのプラスチック製品は、使用後に塩素漂白します。遠心機ローターなどの金属製品は、クリーンベンチ内で紫外線照射します。ガラス製品・金属製品で乾熱滅菌可能なものは乾熱滅菌します。毎回必ずやります。
4. PCR後DNAで汚染された物の処分
チューブやプレートのうち、PCR後DNAに触れたものは、チャック付き袋に入れてから専用のゴミ箱に入れて処分します。PCR後DNA溶液が入っている場合は、キャップ・シールをしてからチャック付き袋に入れて処分します。
5. ディスポのキャップ・マスク・ガウン・グローブを身に着けて作業する
クリーンベンチ内での作業ではグローブだけでいいですが、外でPCR後のDNAを扱う作業を行う場合はフル装備です。ただ、PCR後のDNAを扱うと言っても、シールした状態で扱うならグローブだけで構いません。ディスポガウンが高いという場合は、白衣を毎回塩素漂白・洗濯すればいいです。
6. フィルター付きピペットとフィルターチップを使用する
ザルトリウスの上位機種は、ピペット先端にセーフコーンフィルターというフィルターを付けられます。これとフィルターチップを組み合わせると、フィルターが2重になりますので、ピペット内が汚染されて、それがさらに別サンプルを汚染する確率は低下します(でもセーフコーンフィルターは汚染されてる気がするのでどの程度意味があるのかは不明)。オートクレーブもできるので、ときどきオートクレーブします。フィルターチップはワトソンのやつを使っていますが、他社よりいいかどうかはわかりません。
NGSで大量に解読すると、意図しない配列が出現するのを完全に防ぐのは不可能だと思った方がいいです。
index hoppingとかもありますしね。
ネガコンを数十個入れると、一つも0リードにならないのはごく普通のことです。 |
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