ご存知かとは思いますが,オリジナルのMTTアッセイは反応産物が不溶性のフォルマザン色素ですので,比色定量の際にはDMSO等で可溶化する必要があります.今では反応産物が可用性のものを用いた改良版(WST-8アッセイ等)の方が,可溶化のステップが省けるのでデータの精度も上がりますし,使い勝手が良く,よく用いられている印象です.
オルガノイダーさんがお示しになられた論文ではあえてオリジナルのMTTを用いて可溶化しているようですが,これは反応産物が培地中に放出されるレザズリンアッセイとの併用を考えてのことではないかと思います.論文を見ると,レゾルフィンの蛍光測定時の励起波長(つまり吸収がある波長)とMTTアッセイの吸収波長はそれぞれ530 nmと562 nmと比較的近いところで測っていますので,もしレゾルフィンの有意な残留があればMTTアッセイにも影響はあるのでしょうが,どの程度バックグラウンドを上げるかは,MTTを加えないコントロールを置いてみて差し引けば分かる事ですし,おそらく筆者らも都度測定しているものと思います.影響があったとしても測定を阻害する程ではないという事なのではないでしょうか.
あと,DNA結合色素を使ってDNA量から細胞数を見積もる場合,細胞周期の影響を受け得るということは一応考慮された方が良いかと思います. |
|