不和合性は、それを生じさせる特別のシステムがあるわけじゃなく、普通にプラスミドが増殖や伝播をするしくみから、必然的に分裂増殖しているうちに一種類だけになってしまうんですね。
重要な要因の一つは、娘細胞にプラスミドを均等に分配する仕組みはないし、ましてやプラスミドの各種類を偏りなく分配する仕組みなんかないってことです。そういう仕組がないのは、動物細胞でも同じことですね。それを不和合性と呼んでいいなら、動物細胞であってもそれは起こると思います。
co-transfectionという手法では、複製oriを持たない一過性のベクターでもおなじことですけれど、細胞ごとにベクターのコピー数も同時に入れたベクターの比率も異なるわけだし、それも細胞分裂ごとにどんどん変わっていくわけです。複製oriがあるベクターを使って、さらに細胞のクローニングをかけたとしても、このことからは逃れられませんね。
それに対して、 ベクターが宿主染色体に組み込まれた安定株は、ベクターは染色体を均等に振り分ける仕組みによって均等に分配できます。 |
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