検量線を作るのはあくまで濃度比のわかってるサンプルで線型性を確認した上で、その検量線の範囲においてサンプル量を相対的に見積もっていると言うことです。WBのタンパク定量や、様々な比色アッセイで絶対量比較をしない場合でも生化学的実験ではそのような方法はよく使われます。 絶対定量が必要な場合は絶対量がわかってる表品が必要になりますが、相対定量の場合は不要です。
ddCT法は検量線を引かずに、理想的なプライマーであるとの”仮定”のもとで比較条件によって量が変動しないと思われるインターナルコントロールの変化量で補正してその時の条件によって生じる目的DNAの変化量を相対評価する方法です。
理想的なプライマーが何かという話になってくるとややこしいのですが、ddCt法の元論文は複数回検量測定をしてプライマーの増幅率が100%に近いことを”確認した上で”となっていますが、現実的にはこれが厳密に守られてるかと言われると結構主観的な部分が大きいので、一般論としては少なくとも一度は検量線を引いて目的サンプルのCt値の範囲内でほぼ100%の増幅率であることを確認したものを用いるといった使い方をしてる人が多いと思います。ただ、厳密に言うと、増幅率はサンプルの調製の仕方やサンプル自体の混入物などにも影響するのでその時のサンプルで本当にそうであるかは微妙なケースもありますから差が微妙なサンプルでは注意した方がいい場合もあります。
ちなみに、理論上はプライマー固有の増幅効率がわかれば増幅率が100%出なくてもddCT法のようなことはできないわけではないですが、原理上プライマーが2^nで増幅することは自然なのに対して、増幅効率がそうでない場合(これよりも悪い場合が多い)は、プライマー固有でなくとも色々な理由が考えられるため、仮に毎回安定して増幅効率が30%だとしてもそれを仮定してddCt法のような横着をすることは合理的な理論がないので不適切だと言う認識だと思います。ゆえに、あくまで理論上の理想的なプライマーを仮定した時にプライマーが理想的な増幅率を示すことを条件にやってる方法だと思います。 |
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