RTの反応bufferは、1×で150 mM NaCl(またはKCl), 10 mM MgCl2が基本的に含まれていることが多いです。150 mMものNaClも含んでいるので、基本的にはRT反応液を希釈せずに持ち込めば、PCR用の酵素は概ね終濃度60 mM NaCl以上になるとsalt inhibitionが起きます。高濃度のNaClはrandom primerやOligo-d(T) primerを、37-42°Cでアニールさせるためです。
基本的にPCR用酵素のbufferは、1×濃度で50 mM 程度のNaCl(KCl)を含んでいますので、RT産物を希釈しないで使用することは、manual等で禁忌になっているはずです。PCR用の酵素も、制限酵素と同様に至適塩濃度があります。
また、Mg2+もNa+(or K+)も濃度依存的に、primerのTm等にも大きな影響を与えますし、templateの立体構造(secondary structure)の取りやすさにも影響しますので、高塩濃度であればこの結果は私にはごく普通のことであると思います。
近年のsingle cell用のone-step RT-PCRの系は、buffer組成に秘密がありますが、まあ此処で開示するのは止めておきます。 |
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