分泌因子とその受容体に結合するのを抗体が邪魔することで分泌因子の細胞への働きかけを抑えることはできます。この場合、通常は使用する抗体はその認識部位に受容体と直接相互作用する部位を含むことが求められます。ただ分泌因子が抗体よりも十分に小さければ、抗体が必ずしも受容体結合部位を認識しなくても抗体のような大きな分子がくっついているために立体障害的な理由で受容体にうまく結合できなくな理、結果として受容体への結合を阻害することもありえます。ただ結合の強さや認識のされ方、よくわからない理由など面倒な事情もあり、その阻害能力は抗体によりまちまちで、良い抗体を得るのは簡単ではありません。通常は受容体結合部位をエピトープに含むモノクローナル抗体をいくつか作成して、使えるものをスクリーニングしていきます。
いずれにせよ分泌因子に対する抗体がどれも阻害活性を有するわけではありません。
培養上清から微量のタンパク質を生物活性を保持したまま完全精製するのはそれ自体が一仕事だし、必ずしもうまくいくとはかぎりません。ですので培養上清そのままあるいは部分精製品を使用せざる得ないこともあるでしょうから、そういう場合には抗体による阻害実験は特異性を証明するためには必要になると思います。 |
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