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genome wideスクリーニングについての疑問 トピック削除
No.8816-TOPIC - 2020/05/03 (日) 05:44:21 - 自宅待機学徒1
genome wideスクリーニングに関した論文を読んでいます。

フラビウイルスが宿主細胞に感染する際の必須な宿主の分子を同定する論文で、2016年のNatureに出たものです。具体的には宿主細胞にまずCRISPR KO用gRNA libraryを導入し、そこへ致死性のフラビウイルスを感染させ、大部分が死滅する中、生存したコロニーを解析対象とし、gRNAをdeep sequencingで同定していました。

ここで技術的な疑問です。
たとえば10cmディッシュにライブラリーを導入された細胞をまき、そこへフラビウイルスを感染させ、最終的に10個のコロニーが出来上がってきたとします。

各コロニーに含まれるgRNAを同定したいのなら、PCRをしてをgRNA発現ユニットごと増幅し、それを単にサンガーシークエンスで直接読めばどのgRNAが導入されたかはわかるのではないでしょうか?

なぜ次世代deep sequencingのようなものをしてどのgRNAが"enrich"されたかでgRNAを絞り込んでいくのかがわかりません。考えられる一つの理由として、導入前のライブラリー自身に偏りがある可能性があるために"enrich"したgRNAを探した方が論理的だからでしょうか...?ですが、普通にPCRして配列を自前のラボのシークエンサーで読めば一発なのに....とも思うんです。

私が次世代deep sequencerというのが恥ずかしながらなんのことか分かっていないというのもあると思います。この分野に明るい方からのご意見をいただけるととても理解が深まります。
よろしくお願いします。
 
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(無題) 削除/引用
No.8816-13 - 2020/05/07 (木) 04:27:49 - おお
加えてハプロで遺伝子破壊しているものも並行してやっているので、こっちの方は原因遺伝子を2次スクリーニングに持っていくのはかなりやりにくい。両方の実験結果を比べるという意味、同じような作業ですすめるという点でも、NGSでやったほうがやりやすいんではないだろうか。

(無題) 削除/引用
No.8816-12 - 2020/05/06 (水) 08:40:49 - おお
>[Re:1] 自宅待機学徒1さんは書きました :
> genome wideスクリーニングに関した論文を読んでいます。

>
> ここで技術的な疑問です。
> たとえば10cmディッシュにライブラリーを導入された細胞をまき、そこへフラビウイルスを感染させ、最終的に10個のコロニーが出来上がってきたとします。

通常はこのようなスクリーニングするときは、耐性で増えてきた細胞が複数の遺伝子がKOされていて(関係ないものも)、どれか絞りにくいので、そこから更に2次スクリーニングします。

示された論文ではそれをせずNGSをしていますが、一つの目的の減少に関与しているが遺伝子を潰しただけでは効果が見にくいようなときに有利だと思いますし、広い範囲でのデーターの解析ができるメリットがあると思います。また2次スクリーニングもいりませんし。

(無題) 削除/引用
No.8816-11 - 2020/05/05 (火) 01:48:14 - 自宅待機学徒1
M先生、ちき先生、独り言先生、ありがとうございます!!

なんだかめっちゃ納得しまして、そういうことか!と思うことができました!!
まずはありがとうございました!

”できない事はないです。”というご意見をいただけて、考え方は間違っていなかったんだなと思うことができましたが、確かにディープシークエンスを行うことでパスウェイを明らかにできる、とのことでなるほど!!と思いました!

”せっかく新しい技術があるのに、自分が知っている技術だけに頼っていたら、新しい発見はなかなかできない時代です。”

そうですよね!!私はお金がなくても頭で考えてどうにかできないかなということに固執しすぎていましたね。ただ、独り言先生が言われた、知ってる技術だけに頼っていたら...新しい発見ができない時代だ、という発想は逆にもうべきだと思いました!

なんだかすごく勉強になるのと同時に、実験の進め方に関して180度考え方を改める機会になりました!
まずこの時代にどのようなことができるのか、予算との兼ね合いもありますが、それでも泥臭い実験のコストと天秤にかけながら決めていこうと思います!!

ありがとうございました!!

(無題) 削除/引用
No.8816-10 - 2020/05/04 (月) 13:12:48 - 独り言
10個クローンを拾って、シークエンスで当たりがでればいいですが、もし出なかったときにそのプロジェクトをすべてあきらめることができるのであれば、それでもいいでしょう。その場合は、可能性を残したままやめることになります。
でもその論文で書かれている通り、データがたくさんあったほうが、あたりの遺伝子群のクラスター解析とかいろんな解析もできます。


NGSなら、最大限の可能性を拾って結果を分析できます。

NGSをやったことないラボであれば、NGSの機械を近くのラボで借りたりしても、ランニングコストが結構かかります。
ですが、今なら外注の相乗り解析などを使えば、この程度の解析なら1回分20−30万円ぐらいでみつかります。その場合は、手間もほとんどかかりませんし。

シークエンスだと96サンプルで4万円で出したとしても、ねばって5回やったら20万円ですよね。その場合は、それなりのクリーニングコストも別途かかります。そしたら、20万円でNGSなら同じ値段で1億個分のgRNAデータが得られます。
まずはNGSをどういうものかをちゃんと理解して、コストや手間を考えてみるとよいでしょう。

せっかく新しい技術があるのに、自分が知っている技術だけに頼っていたら、新しい発見はなかなかできない時代です。

(無題) 削除/引用
No.8816-9 - 2020/05/04 (月) 10:49:27 - ちき
>[Re:8] Mさんは書きました :
> NGSが一般化する前は、トピ主さんがおっしゃっているような方法でRNAiライブラリースクリーニングとか行われてましたから、できない事はないです。ただし、少なくとも私の領域では、複数のトップラボがこの手法を試み、それぞれが異なる標的を同定するという結果に終わりました。平たく言えば再現性がなかったという事で、古典的な手法では「バクチ的」になる事は認めざるを得ません。

古典的な方法で同定された標的をknock downし直してみたら同じ形質が得られなかった、あるいは、NGSを用いた方法の濃縮のピークのどれとも重なっていなかった、というならわかりますが、そうでないなら「再現性がなかった」というのはちょっと違うように思います。古典的な方法では一回のスクリーニングで標的の一部しか同定できないし、その欠損による形質の強さも(その一回のスクリーニングの中では)判定できないということなのでは。ふつうの順遺伝学的なミュータントとりと同じですよね。

(無題) 削除/引用
No.8816-8 - 2020/05/04 (月) 08:58:00 - M
NGSが一般化する前は、トピ主さんがおっしゃっているような方法でRNAiライブラリースクリーニングとか行われてましたから、できない事はないです。ただし、少なくとも私の領域では、複数のトップラボがこの手法を試み、それぞれが異なる標的を同定するという結果に終わりました。平たく言えば再現性がなかったという事で、古典的な手法では「バクチ的」になる事は認めざるを得ません。

引用されている論文では、gRNAライブラリーだけでなく、insertion mutagenesisも併用して再現性を確認しています。過去の失敗に学び、前に進んでいるという事でしょう。NGS解析により、単一遺伝子ではなくパスウェイとして標的が可視化できてますね。

引用論文のメソッドを見ると、gRNAライブラリーを発現するレンチウイルスはMOI=0.3で使用されているので、1細胞あたりのgRNAは一種類と思います。なので、その1細胞がクローナルに増殖してコロニーを作るならば、1コロニーあたりのgRNAは一種類になると思います。もし、すでに予備実験を始められていて、gRNA導入によりコンシステントに10コロニー程度生えてくるならば、何回かこの実験を繰り返してみて、生存コロニーから検出されるgRNAに再現性があるか見ると良いと思います。高い再現性が得られるなら、その方法でも何らかの結論が得られると思います。

(無題) 削除/引用
No.8816-7 - 2020/05/04 (月) 01:27:31 - 自宅待機学徒1
ちき様

>ウイルス耐性/感受性を質的(二値的)な形質として見ているのでなく、量的な形質として見ているからですね。

なるほどと合点がいきました。
このスクリーニングをどうにか自分のものにしたいです...。まずはきちんとこの実験系を理解さねばですね!
ありがとうございます。

(無題) 削除/引用
No.8816-6 - 2020/05/04 (月) 01:26:14 - 自宅待機学徒1
独り言様
とても具体的でなるほどと納得できました。ありがとうございます!
ですが、以下のコメントでもう少しご意見を伺いたいです。

”生き残ったその細胞集団には、原因となる遺伝子の一つのgRNAではなく、おそらく数百種類というgRNAが残っております。”

独り言様のコメントから、数百個のコロニーができているということを想定されている思うのですが、
もし10cmディッシュからたった10個しかコロニーが出なかった場合、理論的には10個のgRNAがそれぞれのコロニーで入っていると考えていいのでしょうか?もちろんディープシークエンスで網羅的かつ定量的に読む方がいいと独り言様からのコメントを見て納得しましたが、例えば地方大の小さな研究室で研究予算もディープシークエンスを行うインフラもないような場合、10個を拾ってPCRして小さな大学でも持っているシークエンサーで少なくともその10個のコロニーにどんなgRNAが含まれてるかは予算を気にせずいつもの分子生物学実験の一つとして実行可能じゃないのかな?と思うんです...。

フラビウイルスを感染させ、100や10000個もコロニーが出てきたらそれはもう大変でしょうけれど、10個しかでなかったとしてもディープシークエンスをする必要があるのでしょうか?そこが最大の素朴な疑問ですm( )m

(無題) 削除/引用
No.8816-5 - 2020/05/04 (月) 01:18:23 - 自宅待機学徒1
おお先生
論文は以下です。ありがとうございます。
Nature. 2016 Jul 7;535(7610):159-63. Epub 2016 Jun 17.
Genetic dissection of Flaviviridae host factors through genome-scale CRISPR screens.

(無題) 削除/引用
No.8816-4 - 2020/05/03 (日) 17:41:32 - ちき
すごく簡単に言うと、ウイルス耐性/感受性を質的(二値的)な形質として見ているのでなく、量的な形質として見ているからですね。

(無題) 削除/引用
No.8816-3 - 2020/05/03 (日) 17:35:52 - 独り言
そりゃ、だって、そのgRNAはプールライブラリーだろうから。
もし原因遺伝子のgRNA1個だけに濃縮される素晴らしい実験系であれば、いいのですが、そんな完璧な実験系ではないでしょう。

生き残ったその細胞集団には、原因となる遺伝子の一つのgRNAではなく、おそらく数百種類というgRNAが残っております(ウイルス感染死には直接関係ないが間接的にウイルスによる細胞死を抑制するようなgRNAや(例えばアポトーシスの阻害とか受容体の合成因子阻害とか)、gRNAが多重感染したものや、実験的なばらつきやエラーなどなど)。

だから10個ぐらいシークエンスで読んでも、ばくち的に運よくあたりがあるかもしれないけど、そのgRNAがたまたま入っていたのか、効果があったgRNAなのか統計的にまったくわかりません。
頑張って500個ぐらい読めば何とかなるかもしれないけど、だったらdeep sequencingしたほうが手間もコストもそれ以下で、1万倍のデータを得られます。

だからdeep sequencingで1千万個ぐらいgRNAを読んで、感染させる前と後の細胞集団でgRNAの頻度を比べれば一発で結果が判断できます。


deep sequencingをよく理解すると、その理由はよくわかると思います。

(無題) 削除/引用
No.8816-2 - 2020/05/03 (日) 14:04:07 - おお
読んでいるその論文は示せないのですか?

genome wideスクリーニングについての疑問 削除/引用
No.8816-1 - 2020/05/03 (日) 05:44:21 - 自宅待機学徒1
genome wideスクリーニングに関した論文を読んでいます。

フラビウイルスが宿主細胞に感染する際の必須な宿主の分子を同定する論文で、2016年のNatureに出たものです。具体的には宿主細胞にまずCRISPR KO用gRNA libraryを導入し、そこへ致死性のフラビウイルスを感染させ、大部分が死滅する中、生存したコロニーを解析対象とし、gRNAをdeep sequencingで同定していました。

ここで技術的な疑問です。
たとえば10cmディッシュにライブラリーを導入された細胞をまき、そこへフラビウイルスを感染させ、最終的に10個のコロニーが出来上がってきたとします。

各コロニーに含まれるgRNAを同定したいのなら、PCRをしてをgRNA発現ユニットごと増幅し、それを単にサンガーシークエンスで直接読めばどのgRNAが導入されたかはわかるのではないでしょうか?

なぜ次世代deep sequencingのようなものをしてどのgRNAが"enrich"されたかでgRNAを絞り込んでいくのかがわかりません。考えられる一つの理由として、導入前のライブラリー自身に偏りがある可能性があるために"enrich"したgRNAを探した方が論理的だからでしょうか...?ですが、普通にPCRして配列を自前のラボのシークエンサーで読めば一発なのに....とも思うんです。

私が次世代deep sequencerというのが恥ずかしながらなんのことか分かっていないというのもあると思います。この分野に明るい方からのご意見をいただけるととても理解が深まります。
よろしくお願いします。

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