診断用プローブが短いオリゴであることが多いのは、プローブの鎖長が短いとハイブリにかかる時間が短くて済むので、短時間で迅速に結果を出す必要がある診断・検査に適しているからでしょう。ハイブリにo/nや2o/nもかかるようでは診断には向きませんから。
ハイブリの反応速度の目安にCot1/2、つまり一本鎖に解離した相補鎖のうち1/2の分子が相補対形成するまでの時間というのがあります。Cot1/2は鎖長に比例するので、鎖長が短いほどCot1/2は小さく、つまりハイブリの速度が大きくなります。プローブの濃度(高いほどCot1/2は小さくなる)などほかのパラメータにもよりますが、オリゴプローブならCot1/2は一時間もないと思います。
ただし、オリゴプローブ一分子に付けられる標識量は限られているので、標的RNA分子が豊富な遺伝子が対象ですね。
私は、ISHに使うプローブはまずノーザン、ゲノミックサザンをやって、ユニークなバンドを検出できる実績のある配列を使います。反復配列などクロスハイブリする配列があればエキストラバンドとして見えますし(見えなければ、あったとして反復配列は問題ないわけ)、もちろん目的のRNAを検出する能力のある配列であるかどうかは一目瞭然です。
プローブ長は、数百〜2,3 kbくらいの範囲で。原理的に感度を稼ぐためにはなるべく長いほうがいいので、できるだけそうします。300 nt程度に(といってもコントロールは出来ませんが)断片化は行います。
標的RNAの豊富さが遺伝子ごとに違うわけですから、プローブの長さはこの値がいいとか、これだけあれば十分だとかいうのは無いはずです。 |
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