生物種による問題もあるだろうし、おそらくあなたの説明で話が通じるのは、かなり近い同業者で経験豊富な人間だけのようにおもうのですが(すくなくとも私にはちんぷんかんぷんです)。
ひとつ、生物種に関係ない大原則をいいますと、相同組換えによる遺伝子ターゲティングというのは、生物の持つ相同組換え修復の機構が作用することによります。相同組換え修復は、細胞内で通常存在しないはずの、二重鎖切断(DSB)によって惹起され、切断をもつ鎖の相同配列を鋳型として利用することによって切断点から鎖を伸ばすように作用します。どの範囲までを相同配列からつくり直すかによって、遺伝子全部が入れ替わることもあるだろうし、両鎖のキメラ(例えば前半と後半の由来が異なる)こともあるでしょう。
減数分裂で起こる染色体の交叉というのも、ある酵素(TopoII)が染色体DNAに生じさせた二重鎖切断を修復する過程で生じると見ることもできます。
要は、ターゲティングといえども生物がもともと持っている機構を利用しているのであって、レパートリーにない反応は起こらないのです。
で話を戻すと、相同組換えにはDSBが必要なので、環状は不適、それでもターゲティングが起こることがあるのは、内在性のヌクレアーゼでDSBが生じるためというのが、コンセンサスではないでしょうか。 |
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