何か新しいことをするときに、先行研究を慎重に精読して、必要なら追試もして、実験のデザインや方法、データの評価があてになりそうか、なんか変かを自分の目と手と頭で見分けられるようになれば研究職を生業としてどこ行ってもそれなりにやっていかれると思う。偉い人が褒めてたor無視してたからとか、CNSに載ってるからorしらん雑誌だからとか、IF高いor低いとかラボや研究者の有名か無名かとか、ましてや著者の所属大学とか職位とか、素人みたいな視点でバイアス入ってしまう人は気をつけたほうがいい。そういうのを全部隠してデータだけを拠り所にしたほうがいい。
再現性をどう考えるかは難しい。別に意図を持って故意に不正などしてなくてもその時は確かにそうういうデータが出たのだが、その後2度と出ないということは実際あるし。みんなそういうことはいわないだけで。
原因もいろいろあると思うし、例えば細胞の問題(PDLの違い、血清のロット差、密度ーー)、動物の問題(飼育環境 SPF or conventional, clean-----,( SPFの微生物モニターの基準は施設によって違うのです)、餌のメーカーの違い)など挙げればきりがないです。抗体がなくなってきて、いい抗体を産生していたウサギも死んでしまい、新たに免疫したら2度と良い抗体が得られなかった、とかは実際抗体作ってるとしばしば遭遇するし、そういうことで抗体の分与を断られたこともある。だから素人はともかくプロの人は再現性ない=インチキとかあやしい、とかはとくに言われた方の被るダメージのおおきさを考えると軽々にいうべきではないと思っています。
新しい雑誌を中心にいろいろ新しい試みも始まっています。生物を扱う以上、再現性のあるデータの難しさは十分認識して、methodやmaterialsに関する情報をできる範囲で最大限詳細に開示し、再現性が難しいときに、当事者も含めて(当事者を非難するのではなくて)みんなんでその原因を議論検討できるようなフォーラムをJournal内に併設することも今後可能になるのではと思います。 |
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