>コンピテントセルの形質転換効率は10^7です。
で、50個のコロニーを出したプラスミドの投入量がどれくらいだったのか、というのが知りたかった。
いくつか、助言、確認事項があります。
・ゲル切り出しのときのUV被爆を無くすか最小限にする対策はしているか。
・プライマリークローニングのときいきなり発現ベクター(pGEX)をつかうのは賢明でない。pBlueScriptなどクローニングに適したハイコピーのベクターでまずクローニングしてから、発現ベクターにリクローニングするのがいい。クローニングの効率のこともあるし、青白選択で絞れるのがいい。PCRで調製したインサートだからシークエンスの確認は必須だと思うが、pGEXのようなローコピープラスミドよりハイコピーのほうが分析用のプラスミド調製に有利でもある。
・宿主は? いきなり発現用の宿主でやろうとしたりしていないか? 発現用は形質転換が起こりにくく(形質転換効率が低かったり、サイズが大きいと入りにくいとか)、組換え欠損体でもないので、やはりプライマリークローニングには向かない。
・PCRのエラーのことを考えると、たくさんのコロニーをスクリーニングしてなんとか一個か二個取れるというようじゃ不安。たまたま取れたクローンが変異なしのパーフェクトというのはよほどヒキの強い人だ。
・プライマーに設計した制限酵素サイトは、5'末端に余剰のヌクレオチドを足場としてつけても、切断効率は高くないようだ。切断効率のチェックは、インサートだけでライゲーションしてみて重合が起こるかどうか(末端リン酸化しない限り未消化だとライゲーションしない)を見てみると良い。私のやる限り、かなり入念に消化しても、半分くらいは未重合で残る。うまくいっていないときは重合がほとんど見られないことも。
たぶん、末端がきれいな二重鎖になっていないためで、PCRのサイクル過剰、産物がよく増えすぎて飽和(新規合成より変性した一本鎖どうしが再対合しているような状態?)しているようなときに起きやすいようだ。
・発現しようとしている遺伝子が大腸菌に対し毒性を持つことがある。発現誘導しなくても、リーキーな発現だけで生えてこなくなることもしばしばある。
そうなるとインサートをもった「当たり」のコロニーに限って生えてこなくなるので、生えてきたのはハズレばかりということになる。
プレートのインキュベート温度を下げる(例えば室温)をにするとそういうのも生えてくることがある。 |
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