1) それは核酸泳動に使える非変性ゲルですか? タンパク質用(SDS-PAGE用)ではないですか?最近は泳動バッファーを変えるだけでSDS-PAGEからNative PAGEまでできるプレキャストゲルなんかがあったりするので、断定はできないですが。
EMSAはタンパク質を分離する泳動ではなく、核酸(プローブ)の移動度の違いを見るもので、タンパク質が結合していないときは分画範囲外(分子ふるいにかからなくスッポ抜けてフロントラインに来る)くらいの低濃度が適当です。
またゲル濃度が高いとブロット効率が下がる可能性があります。
2)核酸(プローブ)をブロットするのが目的ですから、PVDFはタンパク質を疎水結合で捕捉するためのものなので論外。ニトロセルロースは核酸にも使われてきましたが、ナイロンが一般的になっている現在では、ニトロセルロースにするメリットは何もありません。ニトロセルロースはプロットのキャパシティー、固定化したときの結合強度、物理的・化学的強度全てに劣ります。低分子のプローブを結合する必要のあるEMSAではポジティブチャージのナイロンを使わないとブロット効率が著しく落ちるでしょう。また、化学発光法(SDP-Star)はニトロセルロースでは性能を発揮できません。
3)メンブレンメーカーのインストラクションに従ってください。
ニトロセルロースの場合は80Cでやりますが、熱に強いナイロンではもっと高い温度(100 C, 120 C)で30分程度のベイキングを推奨している製品もあります。
また、UVクロスリンカーはEtBrゲル観察用のUVイルミネータでも代用できます。最適化するには、標品(例えば自作あるいはキット付属のコントロール用プローブ)をスポットして照射時間を振り、検出強度を比較するなどが必要です(ふつう最適時間は1-3分位)。しかし、UV照射による核酸の切断、ピリミジンダイマー形成、過架橋によってプローブのハイブリが妨げられ感度が下がるサザン・ノーザンハイブリとちがって、プロットした核酸に直接ラベルが付いているEMSAでは、照射過剰長でも感度が下がる心配が少ないので、最適化せずとも、充分長めに照射しておけばいいかもしれません。
初めてやることですから、極力、メーカのインストラクションに従いましょう。じゃなきゃ、うまくいかなかったとき、何が原因か突き止めにくくなります。 |
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