分極するから。
陰イオン(ホウ酸、酢酸イオン)が陽極に、陽イオン(Tris)が陽極に向かって移動するので、イオンの分布が偏り、pHが狂ってくる。
これはTBEでもTAEでも他のバッファーでも同じ。
だから、大型の泳動槽や高電圧を、長時間の泳動ではペリスタポンプで両極からバッファーを循環させたり、スターラで撹拌したりする。これは、ゲルの温度ムラを防ぐスマイリングを抑える効果もある。
途中でバッファーを取り替えるというのは、新しいバッファーに入れ替えるという事ではなく、途中でかき混ぜるとか、ピペットで一方の極から吸ったバッファーを他方の極に入れる、みたいなこと。
ミニゲル(mupid)程度の泳動槽なら、そんなに熱も出ないし、自然対流や自由拡散でイオンが十分に行き渡るだろうし、泳動中、特に配慮する必要はない。
バッファーを使い回すときに、おまじないで、ゲルをセットする前にちょっと揺らして撹拌する程度。
分極の影響がTAEのほうがTBEのよりも大きいというのはおそらく酢酸とホウ酸、それと核酸のリン酸基のpKaの関係でしょう。酸イオンの分布が陽極側に加重してくると、核酸の電離が抑えられる。このときpKaが小さい(より強い酸)の酢酸だとよりリン酸基の電離を妨げるけれど、pKaの大きいホウ酸だと影響が出にくいとかなんとかじゃないかな。 |
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