基本的な(教科書的な)生化学的なお話になりますが、勘弁を。
タンパク質は基本的に親水性です。そうでないと合成されてすぐ水的環境で凝集してしまうので機能しません。タンパク質は合成過程でシャペロンと呼ばれるタンパクの働きで、疎水性領域を内側にして折りたたむ?様に高次構造を形成します。
もちろん例外もあります。例えば疎水性部分で会合して多量体を形成する(親水性表面が外側を向く)、膜貫入ドメインは疎水性ですし、シャペロンや別のタンパクが疎水性部分に結合してマスクする(あるシグナルでそれらが離れて機能的になる)等が知られています。脂肪酸(疎水性テール)が付加されて膜に結合するタンパクもあります。EGFは低分子の分泌タンパクですが精製品は生理的pHだと溶解しません。逆に糖鎖が付加されて親水性が増す分泌タンパクや膜タンパクも多いです。
タンパクが沈殿しやすくなる環境は、外的pHが等電点pIに近づいたり塩濃度が上がると表面電荷が中和される、水和水分子が剥がれる、有機溶媒・熱等で高次構造が変性して疎水性領域が外部に向く等が考えられます。等電点が生理的pHから離れていると凝集・沈殿が生じ易いです。
アミノ酸配列から電荷の総和としてもpIを計算することは容易ですが、高次構造を形成すると計算値からズレることは多いです。タンパクの高次構造が解析されていれば、表面のアミノ酸の分布がわかりますので、親水性領域・疎水性領域の範囲が分かりますが、それでもタンパク表面の疎水性から全体の評価は難しいでしょう。上記理由により、アミノ酸配列から高次構造を形成したタンパクの親水性・疎水性を判断するのは高分子タンパクほど困難です。
アミノ酸配列からヘリックス構造、シート構造、ターン構造の形成しやすさを予測する、また機能的・構造的ドメイン構造を予測するサイトはあります。それらを検索して総合的に推定するのが良いでしょう。管理人さんがまとめてくださっているので、研究留学ネットをご覧ください。
UniProKBも便利です。 |
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