自分でははじめてIPする蛋白質で、どうなるかはっきりしたことがわからない状況ならば、いろんなケースを想定して万全の手順で臨むとおもいますが、とりあえずあるやり方でやって、本人的には満足いくデータがえられているならば、第3者的にはだいじょうぶかな?ということがいくつかあってもとりあえずそれでやるという場面はしばしばあるとおもいます。
4Cと比べて室温の方が蛋白質分解がおこりやすいということはあるでしょうし、大事なものが壊れてしまうことがあるかもしれません。反応中に翻訳後修飾が脱修飾されてしまうこともあるかもしれません。一方で、ラゼート中にはものすごい数の蛋白質があって、個々の蛋白質の安定性もまた多様で、弱いものからタフなものまであります。とりあえず目指すものが壊れなければ、IPしてくるという目的は達成できるわけです。
もちろん、それではうまくいかないものもたくさんあるとはおもいますのでその方法がいつでも適切ということではないのは当然ですが。
本人の気がつかないところでいろいろなものが失われたり、アーティファクトが介入する可能性は常にありますが、でも、じゃあ4Cなら避けられるかといわれるとその保証もないし(長時間の反応がかえって分解を受ける機会を増やすという見方もあります)。Bestを追求するときりがなくなるので、betterで妥協するということはだれでも経験あるとおもいます。蛋白質相手の実験は相手次第なので、「ーーーは~でなければならない」的な態度はときにマイナスに働くことがあり、対象にあわせてこちらが柔軟に対応を変えるのは大切とおもいます。 |
|