>オプジーボの限界は何でしょうか?
これがわかったら世界でいろんな論文で効く効かないの原因を探そうとしてたりはしないだろう。
単純じゃないからいろんな考え方でチェックポイント阻害が効く場合と効かない場合の見分け方を探そうって研究が今盛んだったりするんでしょう。単なるPD-1/PD-L1の発現量ではないらしいですぜ。
>かなり広範ながんに適応可能のようですが、適応でないがんもあるようです。
適用か適用ではないかは、医療費の話にもなってくるので保険適用してメリットがあるかないかという話も絡むので一概に必ずしも個人の癌で”効かない”か”効くか”という問題でもないのです。
少なくともメラノーマなどの初期に適用された癌種では他に有効な治療手段がないのと、比較的患者が限定されるのと、もともと遺伝子変異の頻度が多い癌種なのでネオアンチジェンが出やすいから効果も高い(だろう)とのもとで動物実験や治験で有効だったからにすぎないかと。
>何かメカニズム的に根本的な理由があるのでしょうか?
DNAの変異率を考えると1日に約1000個の癌の元になる細胞は生まれるという考え方もありますが、その多くは生き残れずに死滅するとか、体の本来もつ免疫系によって排除されてるため癌にならないと思われてます。免疫チェックポイント阻害とうのは、教科書的にはがん細胞の出すexhaustionのシグナルを受けた攻撃性T細胞がアナジーになるのを回避し活性化させることだと思いますが、これが直接的な理由でない腫瘍には有効ではないですし、それなら治療ターゲットは限られるでしょう。実際の効果もネオアンチジェンに対するCTL活性なのか、癌自体が直接ダメージを受けてるという話もありますし、完全には謎です。
いずれにせよ、これまで胡散臭い話であった癌免疫治療のなかでは一番有効性が見られたproof of concept研究であり、どうしても治療ウインドウが限られる一般的な阻害剤による治療ではわずかな耐性クローンが再発リスクを生みますが、細胞性免疫の活性化だからうまく活性化できれば完治できる、という期待があると思います。
また、CARTやネオアンチジェン特異的CTLをin vitroで大量に作って治療に使おうっていう研究もあるので、そういう研究の可能性や併用などの方法も含めて一般的な癌を根治する方法があるのかもという期待があるのでしょう。その意味で、チェックポイント阻害剤が恩恵をもたらしたのはいうまでもありません。 |
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