血清をはじめとする高濃度albumin等を含む生物試料からのIgGの精製法を以下に示します。遠心条件等はバリエーションがあり、そんなに厳密ではないです。protein Aによる精製のところはカラム法でなくバッチ法でもいいです。ここでは一般的な方法を書きましたが、基本的には使用する製品の説明書に準じて下さい。なお添加物等は精製IgGの使用目的に応じて判断ください。
1. サンプルに対して50%飽和濃度になるように硫酸アンモニウムを入れて溶かす。(注:50%飽和にするには試料体積に対してどのくらい硫酸アンモニウムを入れればよいかは硫安沈殿の表で調べることができる。)
2.4Cで数時間ないし一晩静置する。
3.遠心する。(12000xg, 4°C, 10minくらい)
4.上清を除去し、沈殿を少量の適当なbuffer(PBSとかTBSとか。オプションとして吸着ロスを抑えるために最終濃度で0.05%Tween20を添加するとよい。)に溶解する。
5.沈殿を溶かしたのとおなじ組成のbuffer(目安として試料の容量の1000倍くらいの容量)に対して4℃で4~5時間ないし一晩、ゆっくり撹拌しながら透析する。
*はじめは濁っている場合でも、透析が進んで硫酸アンモニウム濃度が十分に下がると完全に溶けて透明になる。
6.遠心(12000xg, 4C, 10min)して不溶物(通常はほとんど生じない)を除去し、上清を回収する。
〜スモールスケールで行うならば、短時間で終わるので以下の操作は室温でやってもいい。〜
7.平衡化したProtein A カラム(オープンカラム)にアプライする。
8.平衡化に用いたのと同じ組成のbufferを4~6bed分程度ながしてカラムを洗う。
9.担体上端ギリギリまでbufferの上面を下げてから出口を閉じる。
10. できるだけ担体を乱さないように溶出buffer(0.1MGlycine-HCl pH2.5, 0.05%Tween20)を静かに加える。*Tween20はオプション的)
11.出口を開く。溶出bufferは適宜追加し、担体が乾かないようにする。
12.溶出されてくる液を少量ずつチューブに分取する。
14.溶出液を分取したらすぐに1/10量前後の1MTris-HCl(pH8.5)を加えて混ぜて中和する。(中和できてるかどうかはpH試験紙でチェックすること)
13.溶出液が担体の3~4bed分になったら止める。
14. 280nmの波長で吸光度を測定し、蛋白質(IgG)が溶出された画分を特定し回収する。(Blankは溶出に使用したbuffer)
(手抜き法)ブラッドフォールドprotein assay試薬をパラフィルムに少量ずつフラクションの数分だけ滴下し、各フラクションから数μlとって混ぜる。色が変わったフラクションに蛋白質が出てきているので、そこの分画を回収する。
IgGの量がすくなくてはっきりしないときは、全フラクションを電気泳動してどこの画分にIgGがあるか探す。
15. ごく一部を使って電気泳動で精製したIgGの純度を確認する。通常はほぼIgGのバンドしか検出されないくらい高純度のはず。
16. 少量ずつ分注して-80C保存 or 90%Glycerol+10%(10x)PBS混合液と精製画分を1:1で混和して-20C保存(凍りません) or 0.02%sodium azideを添加して4C保存する。
注)ただし培地にいれたり、動物に投与するとかの目的で使用する予定ならばSodium azide添加での保存は不可で、溶出液にはTweenも入れない方がよい。
*最初の50%飽和硫酸アンモニウム沈殿(塩折)でアルブミンは上清に,
IgGを含む画分は沈殿に行きます。 |
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