まぁ普通なら疑問に思いますよね。
お答えしましょう。
invitrogen(現thermofisher)のカスタムオリゴで算出されるTm値はBreslauerらの最近接塩基対パラメータによる予測値であり、例えば
ATGCATGCATGCATGCATGC、と入力すると
Tm: 89.1 (1M), 67.5 (50mM)、と出てきます。これは次のモデル及び状態を想定しています。
・プライマー濃度:50nM(変更不可)
・塩濃度:1Mまたは50mM
・DNA/DNA helix initiation factor:0kcal/mol
・配列がnon-selfcomplementaryの時のhelix initiation値:-10.8cal/degree
・既にPCR反応系に混合済み(希釈なし)
一方で、thermofisherのTm caliculaterで算出されるTm値も、PlatinumオプションではBreslauerらのパラメータに基づくものですが、同様に
ATGCATGCATGCATGCATGC、Concentration 0.05uM、と入力すると
Tm 67.8 °C、と出てきます。これは次のモデル及び状態を想定しています。
・プライマー濃度:50nM
・塩濃度:50mM
・DNA/DNA helix initiation factor:3.4kcal/mol
・配列がselfcomplementaryの時のhelix initiation値:-12.4cal/degree
・PCRの反応系50ulにプライマー1.25ulを混ぜた時(入力値からさらに40倍希釈)
>前提とするモデルや、バッファ組成によって計算方法のあるのは理解できますが、同じthermofisherのTm caliculaterとも大きく違うのは、ちょっと理解できません。
上記のように、同じthermofisherと言えども前提とするモデルが異なり、PCR反応液に混合済みなのか未混合なのかという点も異なります。
thermofisherのHPにはきちんとした説明はありませんが、ないなら自分でその計算過程を調べ、なにが実際に異なっているのかを把握することでTm値の計算方法への理解が深まります。 |
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