4-HNEでシグナルが出ていて、controlと差異がありそうならば、4-HNEを指標とするのが現状ではbetterな選択とおもいます。60KDaのバンドが染まる染まらないは、たまたまある条件下での酸化ストレスでその組織にそういう蛋白質が標的になりやすかったか、あるいはそういう標的蛋白質がもともと発現量の多い蛋白質として存在していたからとかそういうことであって、あなたの実験の比較対象としてはそれ自体にあまり科学的な意味はありません。比較的マイルドな酸化ストレスでは特定の蛋白質が標的になり、限られた数の蛋白質(4-HNE修飾を受けやすい蛋白質の可能性があり、こういったものは近年proteomics研究の対象にもなっています)が検出されますが、明らかな組織傷害や細胞死がおこるような激しい酸化ストレスでは修飾を受けやすいものだけでなく多くの蛋白質が修飾されることも多いです。なのでこの場合は多数のシグナルあるいはレーン全体がスメアーに染まったようなパタンになることもあります。
定常状態(control)でも一定のROSは生じていて、低いレベルではあっても4-HNEも生成しているでしょうから、たとえば半減期の長い蛋白質などは、4-HNE修飾蛋白質として検出されることはあってもおかしくはないです。
4-HNE修飾蛋白質のimmunoblotingの場合、通常のwestern blottingとは違い、特定の分子量のものが染まるたぐいのものとはちがうので、特定のバンドのシグナル強度で比較するのは適切でないようにおもいます。
Immunoblottingが終わってから、メンブレンを蛋白質染色(色素としてCBB-R250、ポンソー、アミドブラックなどがあよくつかわれるる。具体的には成書参照のこと)して、レーン全体を囲む形で定量して、レーン全体のシグナル強度/レーン全体の蛋白質染色の強度(あるいは内部標準蛋白質で評価してみたらどうでしょうか。
もし余裕があれば4-HHEの蛋白質修飾も調べて(抗体は市販されてます)、4-HNEの結果と比較してみる実験を提案します。
また4-HNEで差異がありそうならより脂質過酸化精製物ではより一般的なマロンジアルデヒド(MDA)の修飾蛋白質なども、違いが見られる可能性があるとおもいます。抗体は市販されてます。 |
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