FACS用途で1次抗体と2次抗体を先混ぜしてもまったく染まりません。ただ、免疫組織染色では1次抗体と2次抗体をコンプレックスを作らせて増感、というキットもありますので、免疫複合体ではターゲットに結合しないというのではなく、蛍光プローブが相互に近距離にあることによるクエンチが起きているのではないかと思います。私もELISA (抗体のisotyping)において、1次抗体と2次抗体を先混ぜする時短プロトコルを持っています。トピ主さんの前の教授がしていたというのも蛍光色素標識2次抗体ではなくて、HRPなどの酵素標識2次抗体だったのではないですか?
FACS時の先混ぜをする場合は、逆に免疫複合体を作らないようにmonovalentなFabの2次抗体を使う必要があります。蛍光標識Fab二次抗体はJackson Immunoresearchが品ぞろえよく出しています。また、Thermo/Invitrogenも標識Fab二次抗体と過剰2次抗体をブロックするIgGのセットをZenon labeling kitとして出しています。
ところで、
> 染色は常温で行う必要があります。ただ常温での染色はエンドサイトーシスを起こしてしまい、二次抗体の結合に支障がでてきます。
昔は抗体によるcapping, internalizationを恐れてFACS染色はon iceでするものでしたが、時代は変わり、染色はroom tempですると抗体会社の標準プロトコルに載るようになりました。ダイレクト標識抗体による染色だけでなく、二次抗体による染色でもそうです。危惧していたAb-induced receptor internalizationは多くの場合問題ならなかったということです。トピ主さんの染色でもroom tempでの2次抗体使用染色でいけたりするのではないですか?ちなみに、FACS staining buffer中のsodium azideは防腐剤としてだけでなく、細胞内ATPを枯渇させinternalization機構を阻害する意味があります。これをbiological fixationと表現されているのを見たこともあります。
最後に、もし精製抗体として50-100 ugくらいの1次抗体を持っているのなら、monさん紹介のキットでラベルしてしまうのが一番安全ですね。 |
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